SHI-O-N 5
部屋によっては畳が残っていました。
でも多分この家の住人が片付けていった後なのでしょう。
立てかけてあった畳は湿度に負け、形を崩して、立てかけられてあった
壁からぱたりぱたりと倒れていました。
壁に背を預けてしゃがみこんでしまった人にも似て
力がまったく感じられない光景です。
居間と思われる場所に窪んだ四角いスペースがあります。
最近の人にはこれが何かきっとわからないと思います。
掘り炬燵の跡なのです。
中央の窪んだ場所に練炭や豆炭を入れます。
周りから座った人は椅子に座るように足を下に投げ出す事ができます。
机とコタツ布団をこの上に用意すれば本当に暖かいのです。
障子や襖もきちんと立てかけられてあったようです。
ここは住人がきちんと整理をしてから離れた住居です。
遺棄された残骸に付きまとう嫌な生活臭が余りありません。
玄関から表を見ると新緑と陽射しがあまりにも鮮やかです。
でももうこの家は住人を迎え入れる事はないと思います。