旧・神崎ホフマン式輪窯 その5

所有会社の倒産で競売にかけられている土地の中の遺構。
文化財指定を受けているのにこんな風に崩れていくのを
放置するなんて事が現実にあるのです。

現在国内で残っているホフマン式輪窯は4基。
栃木県野木町にある『旧下野煉化ホフマン式輪窯 』が有名ですが
同じように全国で4基しかないものであるにも関わらず
この荒廃ぶりはどうでしょう。

新しい所有者が決まるまでこの煙突達は立ち続けているでしょうか。
新しい所有者はこの文化財を補修するでしょうか。

文化財登録制度とは建築後50年を経過した建造物で
広く親しまれていたりそこにしかないような珍しい形を
しているものなどが資格を有し、登録されると優遇制度を
受けられるというものです。
外観を大きく変えたりしなければ現行の使い方でも
別の目的の店舗などに改装したり観光用に整備したり
自由に使ってよいそうです。

でもこれが曲者です。文化財をそのままで保存、維持する
という、お金も手間も管理もかかる方法ではないから
いきなり壊れちゃったなんて事があっても仕方ないねぇで
済まされてしまいそうな気がするからです。

神崎ホフマン式輪窯は登録有形文化財。
でも全然大事にされていません。
強風で倒れた煙突もそのままです。

同じく舞鶴市内にある「赤れんが博物館」に行って見ました。
博物館の1階にはホフマン式輪窯の中を模した展示スペースがあり
そこには旧・神崎ホフマン式輪窯の模型が展示してありました。
往時はこんな風だったのです。

博物館でもこんなに貴重な遺構なんだと展示スペースが設けられるほどの
遺構なのに現地はあの状態...。

競売にかけられた遺構。

お金のかかる修復。

残したいという声も気持も実際に倒壊を食い止める事が出来ない。

それは競売にかけられている手の出せない土地だからでしょう。

あのホフマン輪窯を救えるのは企業だけだと思います。
産業遺構の保存に熱心な企業があの土地を買ってくれたら
補修をしてくれたらあの煙突たちはくたびれたといいながらも
まだ頑張ってくれそうに思います。

昭和33年に働くのをやめてから静かに佇んで来た煙突。
雨の下で傾いて蔦のデコレーションを身につけて
自分の身の処し方を訪れる人に問いかけるように
ひび割れた身体を風に晒していました。