恵比寿鉱山見学 その4


ブリキのトタンはさび付いてどんどん剥がれて来ています。
雨が振り込まなければ中の機械はもっと綺麗な状態で
残っていたのかと思います。

選鉱場を離れて山のほうに回ってみました。
川の流れとは別に妙に水があふれている踏み分けられた草地に入ります。


水があふれている方へ進むと碍子の残った電柱や木造家屋の
残骸がたくさん草に埋もれています。


ぺっちゃんこに潰れて屋根だけが残っている建物がいくつもあります。
鉱山施設の名残は壊滅しています。


草ぼうぼうで進むのもままならない中に水路らしき溝が在り
覗き込むとコンクリートブロックで塞がれた坑道が見えました。
水はここからたくさん流れ出ていました。

明治45年から昭和37年まで頑張っていたタングステン鉱山。
国内二位の採掘量を誇った時代もあるといいます。
水力発電所も持っていて周辺の町よりも電気の供給が早かった
というエピソードは福井県の面谷鉱山や他の鉱山跡でも何度か
耳にしています。ここにも水力発電所があったそうです。

鉱山町という残照。
当時は鉱山があるだけで町が出来ました。
その賑わいも今はすっかり退いて静かな山だけが残っています。

静かな山の中にぽつんと残されたインクラインの錆と
もうすぐ朽ちてしまうであろう比重選鉱機の錆と
恵比寿鉱山の名前の残る街灯がここを鉱山跡と語ります。

雪の季節に今年はあの選鉱場の天井の穴から比重選鉱機にも
降り積もる事でしょう。もう長く続かないかもしれない鉱山跡の気配。
朝一番の光の中でインクラインが寂しげな恵比寿鉱山でした。