明延鉱山 錫の行方 その1

東洋一と呼ばれた神子畑選鉱場が撤去されて一年以上過ぎました。
真新しいコンクリートで覆われてしまった選鉱場を機会があるごとに今も訪れています。

明延鉱山
神子畑選鉱場
生野精錬所
これらを切り離して考える事はできません。

非鉄金属鉱山の中では最も優良鉱山で
最後まで残るといわれていた明延鉱山。
国内の錫の9割以上を産出していた鉱山でした。

資源を掘り尽くしてしまっての閉山ではありませんでした。
まだ山には鉱石が沢山残っています。
でも閉山になりました。

自分にとって一番思い入れがあるのが明延鉱山です。

 

明延鉱山で採掘していた錫の鉱石。
2001年に明延鉱山を訪れた時
明延鉱業の方から最後に採掘したという鉱石のひとつを頂きました。
その鉱石は大事に家に飾ってあります。


明延から神子畑に送られ生野に届き、製品となった錫。


明延を訪れた時鉱山関係者の方から錫の塊を頂きました。

銀やプラチナのような鋭い白さではなく
錫はやわらかい光を持っていました。



2004年の11月半ばに明延鉱山で建物の撤去が始まったと耳にしました。
神子畑選鉱場はもうその頃に形を殆ど留めていませんでした。
明延地区にまで始まってしまった撤去工事。
まだ形は在るのかとはらはらしながら出かけました。


明延の町に入ってこの標識を見ると来た事を実感します。
撤去が始まったらこの標識が示すのは跡地だけになってしまいます。



鉱山の正面入り口への道路に向かいます。
現場の方が出入りした後だったのかいつもは閉まっているゲートが開いていました。


それを良い事にとことこ中に入っていきました。


坂道をどんどん登ります。
工事の音が耳に届きます。


現場で写真を撮らせてくださいと頼みましたが当然のごとく追い払われました。

チラッと見た限りでも殆どの建物がもう解体されてしまっていました。
あの綺麗だった事務所も。
バッテリーロコの修理場も。

積み上げられた瓦礫の山になっていました。