多羅尾 その3

しかーし。
保育所を出た直後。
いきなり雪がっ!!
雪と小粒のあられがっ!!
しかも風がすごく強い。
何でいきなり降ってきますか。
そんなに私の日ごろの行いは悪いですか。


これが付け替えられた現在の川です。
下流方向を見たところ。


案内してくれる眼鏡美人のおねぇさんも真っ白。
真っ黒黒助の自分も真っ白に。
そして石碑に行く途中でこんな説明板を発見。


凄く大切なことがとても可愛いイラストで分かりやすく描いてある。


身体半分雪だるまになりながらたどり着きました。
実際は保育所から300mくらいの距離です。
里宮神社。


敷地に入ってすぐの所に石碑が立っていました。


石碑裏の文字を撮ろうとしましたが雪で不可能。
退散します。


保育所に帰ってきてストーブに当たらせて頂きながら
多羅尾村大水害誌の中の石碑の説明を撮らせて頂きました。

会場にお越しになった災害に遭われた方から色々なお話を聞きました。

土石流に巻き込まれた友人の姿が見えていて
助けたかったけれど助けに行けなかった事
集落一面に押し寄せた土砂は太腿まで沈むほどのぬかるみで
移動するのも困難だった事
あっという間に夫や子供が土石流に飲まれて姿が見えなくなった事
自分たちの村だけが未曽有の災害に襲われたと思って
必死で隣の信楽や和束の集落に助けを求めに行ったけれど
周辺の集落も多羅尾ほどの土石流に襲われてこそいなかったけれど
洪水で壊滅的な被害を受けていた事
田畑の耕作の為に飼っていた牛などの家畜が死んでしまい
夏の盛りで腐敗臭が凄かった事

何日も降り続いた雨のせいではなく
一晩の
それも数時間の雨で起きた事です。
まったく予想だにしなかった事なのです。

時間80mmの集中豪雨が数時間で
こんなにもたくさんの人の命と生活を一瞬で奪ってしまったのです。

◆ ◆

しかし状況をお聞きすればするほど
調べれば調べるほど
この集中豪雨は一昨年の宇治を襲ったお盆豪雨にそっくりだと感じました。

2012年8月13日〜14日 宇治豪雨災害
気象台の予報ではこの夜
降っても20mm/h程度であろうという予測を出していました。

お盆休みで各地から高速道路での移動車両も多かったと思われます。

13日の20:00 京都府南部と山城中部に大雨注意報が発令されます。
降り続いた雨は23:00に警報に変わりました。

その後、雨は降り続きますが急激に増えることはなく数時間が経過。

そして

4:00に突如、天ケ瀬ダムと志津川流域、宇治市街という極めて狭い範囲に
70mm/h超という凄まじい豪雨が降り始めたのです。

7:00までの3時間余りで何が起きたのか。

まさにこの多羅尾水害と同じように
天ケ瀬ダム周辺の道路はずたずたに寸断されました。

志津川流域では川沿いの人家が丸ごと流されました。

世界遺産・平等院と名勝・塔の島の近辺の家屋や店舗では
山の保水力を超えた水がそのまま斜面を流れ下り
川からの水でなく山からの水で床下浸水が起きました。

弥陀次郎川では破堤して周辺には洪水流出土砂により
道路には数10cmもの土砂が堆積したのです。
2012年宇治水害については
京都地方気象台の発表資料
京都大学防災研の調査報告
詳しく勉強できますのでご覧ください。


61年前に起きた大災害

61年前にはここまで川は整備されていませんでした

地道に整備が進められてきたからこそ
同規模の降雨があっても被害を小さく抑えることができたのだと思います。

人知の及ばない気象

これからもいつどこで同じような雨が降らないとも限りません。

年々凶悪になる台風
予測不能の前線性降雨
そして
最も予測困難な集中豪雨

過去の災害を知り備えをし
語り継いでいくことは大切なことなのです。

貴重な資料を拝見できて
当時被災した方のお話をお聞きすることができて
とても勉強になった多羅尾区の水害資料展示でした。
親切にして頂いたスタッフの方、ありがとうございました。