多羅尾 その1

2014/4/4 更新

3月末になりました。

桜の開花が待ち遠しいですが
今年はバレンタイン豪雪をはじめ
暖かくなったと思ったら大荒れの天気が繰り返され
この日も北日本で低気圧が凄い雪を降らせたりと
なんとも外出するのをためらうような天気でした。

NHKのニュースを聞き流しながら
でも今日は神戸に行こう
大荒れの天気だけどアーモンドフェスティバルに行って
ターナー展にも行こう

と、カメラの準備をするなどしていた時に・・・

「・・・多羅尾の豪雨災害の体験を語る会が・・」

と突然のアナウンスに手にしていたカメラをTVに向ける!!


昭和28年8月の多羅尾豪雨災害の記録写真展が地元で開催されている!!


地元で豪雨災害に遭われた方のお話が昨日あったと。
そして今日一日だけ当時の写真展示が多羅尾地内の保育園で行われると。

一瞬にして神戸行きを変更。

行先は滋賀県甲賀市信楽町多羅尾。


という事でやってきました。
滋賀県甲賀市信楽町多羅尾地区。

川沿いの集落で道路の横にパーキングなどなく
どこに車を止めたらいいのかと思っていたら
砂利敷きの広場があったのでとりあえずそこに車を入れる。


少し離れた所に保育所がありました。


現在は閉園中とのことで保育所としては使われていません。

玄関で靴を脱いでスリッパに履き替え
中に入ると丁度始まったばかりでした。

「おはようございます。今朝のNHKのニュース見てきました〜」

と、スタッフの方にごあいさつして展示物を見せて頂く。


一日前に行われた地域のお子様に向けての語る会の様子は
中日新聞でこんな大きな記事になっていました。
他にもNHKや産経新聞など取材が来ていたようです。


展示物をじーっとみていると
当時、この地区で豪雨・土石流災害に遭われた方がお越しになり
スタッフの方に写真の場所を説明され始めました。

写真が撮られた当時と現在では風景が全く異なっているので
位置の特定が困難な写真も多くあったようです。


多羅尾の豪雨災害。

昭和28年8月14日夜半過ぎから15日明け方にかけて
木津川中流域と大戸川流域の山間部にとてつもない雨が降り
多数の土砂崩れが発生し甚大な洪水被害もおきました。

流域で大きな被害が出たのは
京都府の綴喜郡井出町、宇治田原町など相楽郡全域
滋賀県の多羅尾地区などです。

台風性の降雨ではなく
前線性の降雨でもなく
集中豪雨性のものでした。

滋賀県のHPの「多羅尾豪雨による土砂災害について」で災害概要が説明されています。

この中では参考ハイエトグラフとして
信楽町から隣とはいえ、かなり離れた上野地区の降雨量が公開されています。
積算雨量で約250mmの雨が降ったようです。

なぜ上野地区のハイエトグラフが多羅尾地区の豪雨の参考として載せられているのか。

理由は多羅尾地区の観測所のデータが計測途中で欠測になったからです。
300mmで満杯になりそれ以上の雨量を測れなくなっていたといいます。

そのためこの豪雨災害の雨量観測データは多羅尾地区をはじめ
京都府の綴喜郡でも相楽郡でもあまりはっきりと残っていません。

参考になるのは周辺で生き残って記録を続けていた
観測所のデータという事になります。

当時の新聞を見ても数字は日を追うごとにばらつきがでます。
総雨量として災害翌日の新聞に掲載されていた数字は
京都 33mm
宇治 132mm
田辺 161mm
木津 87mm
山科 58mm
山崎 51mmとなっていました。

自記雨量計でデータがあったのは田辺土木工営所(現・京都府田辺土木事務所)で
8月14日 19:00〜8月15日 10:00の15時間で161.5mm。
そのうち14日の19:00から15日の01:00までの6時間雨量は積算しても56mmなのだそうです。
15日の01:30から02:30の一時間で総雨量の半分の80mmがいきなり降っているそうです。

豪雨中心地点のデータは不明ですが
田辺と上野の間に位置するエリアの豪雨なので似た降り方であった事
そしてこの観測された数値をはるかに上回る雨があった事が考えられます。