大野市ぷらぷら その4


水琴窟のあとやってきましたのは大野市内で“本願清水”に次いで有名な“御清水”です。


もう滾々と水がわき出ているので手をつけたら冷たい冷たい。
水マニアの友人を連れてきたら羽交い絞めにしないと飛び込むだろうという透明度。


立派な説明板もあります。


観光マップの横にあった説明文。

地下水は年を通して変動します。
例年、7月半ばから8月半ばが湧水量が多いピークの時期のようです。
水田から水が無くなる11月になると急激に水位が下がるのです。

水田も大事な貯水池なのです。
地面にゆっくりしみ込んだ水が地下水として出てきているのが湧水ですから。


御清水の横にはもお地蔵様もあります。
御賽銭を入れに行ってドキッとしました。


一瞬、ラブルコンクリートを削って作ったのかと思ってしまった。
そんなことはありません。
礫岩です。


森湖の時に九頭竜ダム会場で大野市が展示していたブースの説明より。
昭和30年代、こんな豊富だった本願清水の写真がありました。

今回の森湖でお会いした方の中には小さい頃ここで泳いだという方もいらっしゃいました。
もしかしたら写真に写っているかもー。


しかしこの地下水の豊富な大野市も一度、湧水が枯れてしまった事がありました。

宅地化の進行
井戸による地下水汲み上げの増加
休耕田の増加による浸透水の低下

大阪や東京では地下水の汲み上げで地盤沈下が進行しました。
地下水汲み上げに規制のある自治体は少なくありません。

人口を増やすために宅地化を進めて
そのために水源が必要になってダムが造られる

地下水が豊富だからと宅地化を進めて
供給源となっていた水田や森林の能力を超えた分を必要とし
取り続けたら枯渇するのは仕方がありません。

そして雪の無い所ではイメージしにくい事ですが
水位が下がる冬にも水の需要が多いのが豪雪地帯です。

融雪のために水を使うからです。

大野市では地下水位が低下すると井戸枯れが発生して
生活用水が不足する恐れがあるため地下水保全条例というものを定め
地域によっては融雪のために使用することを禁じています。


豊富な水

それは人の豊かな暮らしのためにとても大切なことです。

この豊富な水が何もしなくても当たり前のように湧き出ていた事は昔の話になりました。
今は地下水保全のために様々な取組をして大切に守られているものなのです。

湧水を見ながらwebに流れるダム嫌いな人の無頓着な発言が頭に浮かびました。

100年前はもっと水か多かった時代があった
そのころに比べて今の川は違っている

100年前の姿が自然な姿だ

昔は沢山、魚がいた
今は魚が減った
ダムができて水が減ったせいだ

ダムが無かったら昔のままの川だった
魚ももっとたくさんいたはずだ

などという変な論法で河川を語る人がいるのです。
人の暮らしの数世代前の記憶
100年というのはあくまで“昔の”という感覚。
なんでも昔はよかったという人は確実にいます。
今を否定することが好きな人が確実にいます。

昔の川が良い川だという感覚について自分は違和感を覚えます。

河川は豪雨のたび姿を変える生き物です。
時に土砂が大量に流れ出し
河口砂州は形を変え
流れすら変わるのが川というものです。

当然、100年前と今では湧水の湧き出し方も流れ方も違う事は不思議ではありません。

ダムは大きな環境変化をもたらしますが
大規模ニュータウン開発に比べれば環境へ及ぼす影響は小さい方だと言う話を聞きました。

でもダムが嫌いでダム反対というのを趣味にしている人の中には
自分たちの生活は至便に、快適にあるべきと考えながら
自分の生活を棚に上げてダムだけを攻撃したりしている人もいるように思います。

また、ダムができたから水が減ったという事を
ダムができて別の所に水が使われるようになったからと理解せずに
まるでダム自体が水を消費しているように勘違いしている人の発言も最近目にします。
どこか別の場所で消費されるから元々の川に流れる水が減っているのですが。

その水でライフラインを確保している住宅地の方の生活はどうでもいいから
自分たちが釣りやスポーツで遊ぶために川に水を流せというのは暴論です。

その場所には一年を通じて降雨がないときでも
平均的に水が安定して流れるようになったという事についても
ダムが嫌いな人はダムが無かったら一年中
滔々と川の水は流れていると信じているようです。

いやいや
一年中大水量が流れる川って上流にどれだけストックのある川ですか。
雨が降らないと枯れるのが日本の川ですが。

生活用水の活用の仕方が100年前と今では違うのです。
人口も全然違うのです。

100年前と今の違いは湧水のメカニズムを正しく知ることができて
今後、どうしたらこの湧水を守ることができるか対策を講じることができる点であると思います。

湧水やダムを通じて水資源の活用はとても難しい事を学べる大野市。

美味しいもの食べに来るのも大変良いですが
色々勉強できて綺麗な水に親しむこともできます。

森湖以外でもぜひたくさんの方に来てほしい大野市ぷらぷらレポートでした。