湯原ダム 防災操作 その5

土砂降りの中、何とかぶれずに撮れていた堤体上流面です。
クレストゲートの越流高がEL394.0mです。
堤体にしましまが入っています。
この時の水位が今ではとても気になるんですが
当時の写真で水位標がちゃんと撮れていない

かろうじて撮れていたこの水位標は
拡大してみると利用水深表記でした。
発電ダムではこれは当たり前。
そして数字が読み取れない当時のカメラ性能。
EL388.5m位のはずなんですが…。

管理所はこの位置です。やっぱり水位上がってきたら何となく怖い。

ということで写真がほんとにとほほだったために
湯原ダムのレポートは上げていなかったのですが
また晴天の時に行ってみたいです。

平成30年7月豪雨では各地で何山も大雨がやってきました。
ハイエトグラフを見ると分かりやすいです。
左下は太田川水系滝山川の温井ダム
左上は江の川水系江の川の土師
中央上は揖保川水系引原川の引原
中央下は重信川水系石手川の石手川ダム
右下は淀川水系宇治川の天ヶ瀬
右上は淀川水系一庫大路次川の一庫
です。
水文水質データベースで7月4日から8日でデータを拾い出しました。
災害の全体像は国土交通省が発表された資料で読み取ることができます。
「平成30年7月豪雨について」
この資料には今回の豪雨で洪水調節を頑張ったダムが213ダムにのぼり
異常洪水時防災操作に移行したダムが8ダムあったことも記載されています。
異常洪水時防災操作(但し書き操作)に移行したダムは
愛媛県の鹿野川ダム、野村ダム
広島県の野呂川ダム
岡山県の河本ダム
兵庫県の引原ダム、一庫ダム
京都府の日吉ダム
岐阜県の岩屋ダム
です。

こちらが今回、レポートを書くにあたり
岡山県様から頂いたデータで描いたハイエトグラフになります。
期間は7月4日から8日です。

こちらは川の防災情報の湯原ダムのページです。
ハイドログラフを読むために必要な情報はここでも獲ることができます。

数字がみんな400前後なのでややこしいですが
ここで示している青字の洪水貯留操作開始流量は“量”ですので。
400m3/s以上の水がダム湖に入ってきたら洪水調節、防災操作開始するよという基準。
流量も大事ですが水位標高も大事。

こちらもweb公開されている湯原ダムパンフレットに載っている図です。
クレストゲート越流高はEL394.0mですが
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位)はEL398.0m。
常時満水位はEL402.0m
湯原ダムの場合は常時満水位=サーチャージ水位=洪水期最高水位です。
それらの基本の数字を頭に入れて
平成30年7月豪雨時の湯原ダムのハイドログラフを見てみましょう。
エピソードは岡山県様の公開データ、第3回災害検証委員会資料から拾い出しました。

こちらもハイエトグラフと同じくいただいたデータでかき出しましたハイドログラフになります。
綺麗やわ〜♪
ほれぼれするハイドロやわ〜♪
と、うっとりしていてもだめなので素人なりに読み解き。

@7月4日にところどころ42m3/s
ぽこっぽこっと出ているのはこれ、たぶん発電放流。
Aこの時の水位はとても低くてEL388.60m前後です。
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位)のEL398.0mから9m以上、低いです。
7月ですでに渇水気味だったんでしょうか。
B7月5日の午後には大雨洪水警報がでています。
この時も水位は4日と同じくらい。
放流量が増え始めますがこれ、@と同じ放流量なので
発電放流っぽいです。
C7月6日にまず地元の真庭市に入れた連絡というのが
直下の砂湯温泉の東屋撤去と車の移動!!
これ、湯原ダムならではの必要な対応なんですね。
で、お昼すぎに撤去が完了した後、どんどん雨が強くなり
Dダム湖への流入量があっという間に400m3/sを超えました。
湯原ダムの洪水量に到達です。
E6日の22:50に流入予測システムが放流を決定したので関係各所に連絡が入ります。
しかしこの時、水位はEL393.7m
まだクレストゲートの越流高のEL394.00mに到達していないのです…。
発電放流で、ずーーーーーーっと横引きしつつ
水位がゲートに届くのを待っています。
・・・。
早明浦ダムあるあると同じ状況。
↓
・雨だ〜 体制入るぞ〜
・流入量800m3/s超えたぞ〜 防災操作開始だ〜 長靴着用
・貯水位低いな〜 まだ全然ゲートの高さにも届いていないぞ〜
・ゲート開ける前に流入下がり始めたわ〜 長靴脱ぎ脱ぎ
・全量貯留で終わりました
F7月7日01:00、EL394.66mまで貯水位が上がりました。
ゲートの越流高まで来ましたので放流開始です。
G5日から数えて3山目の降雨ピーク時、最大流入量572m3/sに対し
最大放流量は217m3/sでした。
3山目のピークの後、雨域の移動に伴い放流量を絞り込んで後期放流に移行しています。
H最高水位はEL398.00mで常時満水位のEL402.00mまで4.0mの余裕がありました。
総貯水量9960万m3/sの貯水池素晴らしいっ!!

やっぱり貯水池が大きいことは本当に素敵。
渇水にも対応できる。
洪水にも対応できる。
大きいことは讃えられるべきだと
ハイドログラフを見ながらしみじみ思いました。
でも頭をよぎるのは
2005年の14号台風(T0514)。
総貯水量3億1600万m3/sを誇る西日本最大の水がめ
早明浦ダムが空っぽになった時にやってきて
一晩で満タンにしたあの悪夢のような台風。
今後もあんな台風が来ないなんて絶対に言い切れません。
むしろ来るかもしれないと備えるべきなのです。
台風性降雨の恐ろしさ
前線性降雨の恐ろしさ
ダムに寄せられる過大な期待と
いい加減で不勉強なマスメディアの報道は
くり返しくり返し
今世紀になってからでもずっと
繰り返され続けています。
河川管理者、ダム管理者が情報を発信し続けて理解も深まり
少しずつましになってきているのかと思っていましたが
今回の豪雨では特に偏向がひどかったように思います。
これだけの凶悪な前線性降雨であっても
異常洪水時防災操作に移行しても
下流に被害がなかったダムと
被害が出たダムで報道はあまりにもはっきり分かれてしまいました。
行われた操作はいずれも予備放流を実施しての本則操作であったにも関わらずです。
一度も河川法を読んだこともなく不勉強で
筋違いのダム批判を嬉しそうに語っている人や
国や県を批判することが使命だと信じている偏向新聞は
ダムが無限の容量を持っていると思っているか
渇水が絶対来ないと信じているのではないかと思います。
そのくらい見当違いな発言がwebに出回っています。
せめて
ダムの仕事に興味を持っていない人の耳には何を言っても届きませんが
ダムの仕事に興味を持った人には正しい操作を知ってほしいと願っています。
湯原ダム、頑張りました!!
湯原ダムは本当に頑張りました!!