夜明ダム 見学 その3


堤体の横の安全な敷地内に入れて頂きました。
先ほどのパケットが頑張って引き揚げた流塵が袋詰めにされています。
ほとんどは木の葉っぱですが
まぁ、これだけ流域が広くて人の生活が近い大河川ですから
ペッボトルにタイヤに家電パーツなどいろんなものが引き揚げられていました。

ダムはこういうごみを補足したら全部引き上げることもお仕事のひとつに入っています。
凄く大変です。

洪水の時にこれ幸いと捨てる家電を川に流すのはやめてください。
不要な自転車やバイクを流すのもやめてください。
河岸にごみを放置して出水を待つのもやめてください。
これは筑後川でお聞きした話ではありませんが
実際に山間部のダム管理所でお聞きした話です。
家電リサイクル法の後、投棄がひどくなったと聞いています。
上流で家が水に浸かったという話ひとつないというのに
こんな物が流れてくるはずがない!!というものが流れてくるらしいのです。
それらのごみが設備の働きを阻害することにもなるので
ダム管理側は全部引き上げますが、それを処理するためには
捨てた本人を特定できないので仕方なくリサイクル料金を立替て
引き取ってもらう事になってしまっているんです。
上流に住む人のモラルが問われる話です。


で、夜明ダムですが当日はこの通り、とっても綺麗な川面でした♪
細かい流塵は来ていましたが生活ごみは少なかったです。

しかし
しかし・・・
夜明ダム
めちゃくちゃ水位高くない???

ゲートの上端が見えるか見えないかの凄い水位です。
しかしこれで通常の水位との事。
うわ!!
なんというシビアなダムなんだっ!!


固定堰で見るとどれだけ水位が高いか分かりやすいかと思います。

なんという操作の難しそうなダムなんだ!!
これだけマージン少なくて
しかも九州一の筑後川の本川にあって
第V類ダムのシビアな仕事を語ってくれている気がするっ!!

第V類ダム
それは過酷なダムの代名詞。


ゲートピアのてっぺんは鉄骨トラスで繋がれて歩廊が設けてあります。
巻上機を設置している台座もおしゃれですね。


対岸の堤防の向こうに大きなテントが見えました。
これはなんと夜明ダムのゲート点検時に使用するフローティングゲートの格納庫だそうです。


固定堰の下流は可動堰の下流と導流堤で仕切られていました。


もう一回地図登場。
夜明ダムはこのようにS字に大きく蛇行した場所に造られています。
蛇行部分で水は外側へ外側へと力を働かせます。
岸にかかる力を少しでも減らすために右岸の固定堰の下流には
河岸保護のための導流壁が設けられているのではないかと思いました。


第V類ダム。
それは最もシビアな操作を要求されるダムです。

出水時には流入量=放流量であることをしばしば求められます。

しかしこの流入量と放流量を同じにするという事は非常に難しいのです。

どれだけ大変かという事に興味をもたれた方は今村瑞穂様が執筆されている
「ダムの操作を原点から考えてみよう」をご覧いただくことをお勧めします。
某電力会社のお世話になっている方から勧められて拝読し目からうろこが落ちました。

第V類ダムがどれだけ大変かという事は現場のお話をお聞きしていて痛切に感じています。
第T類も大変なんですが。


工事中には洪水でダメージを受け
竣工してからはとことんシビアな運転を通常業務として
筑後川本川で今日ももくもくと頑張る夜明ダム。

その姿は仕事人

背中で語る男のダム

夜明ダムは筑後川を語る上で絶対に外せない名堤体であると現地で感じました。

九州電力 大分支店 日田電力所の皆様。
見学の許可と、貴重な資料を閲覧させていただいて本当にありがとうございました。