with Dam Night 2021 その5


wDN2021当日。
帝都に向かう新幹線が前線性降雨の影響で1時間40分の遅延が発生していました。
おろおろしましたがJRの方が丁寧に対応してくださり
その時間から最も早く帝都に着く便に変更してくださいまして
無事に帝都に入ることができました。


なんとか会場にたどり着くことができまして
動画やPowerPointの動作確認をして準備準備。

定刻になりました。

まず最初にダム工学会の会長の小長井様よりお言葉を頂きます。

1950年代は日本では佐久間ダムをはじめとする
巨大なダム建設のラッシュが始まったころでした。

そして鹿野川台風や枕崎台風、伊勢湾台風という
気象史に残る大変な災害をもたらした台風が次々とやってきたのも
この頃でした。

最近の雨の降り方を見ていると災害の激甚化ばかりが報道で強調されますが
昔あった災害を忘れてはいけないということを教えて頂きました。

旧約聖書に「今あることは かつてあったこと」という言葉があるそうです。

お話を聞いていて頭に浮かんだのは1953年の南山城水害と全く同じ雨の降り方をした
2012年8月の京都府南部豪雨災害(宇治豪雨災害)でした。
これも南山城水害から59年目だったのです。

歴史が還る 還暦 なるほど

昨年のwDN at Homeでもダムと芸術という素敵なお話を頂いたのですが
今年もまたまた素敵なお話を頂けてとても嬉しかったです。

オープニングに北海道の尾山様が作成された動画が流れました。

とにかく綺麗で貴重なダム映像がてんこ盛り。
放流映像で中筋川が出た時は声が出ました。
全国のダムファンが提供してくださった美麗写真と動画で
素晴らしい作品でした。

ICOLD2012に合わせて作成された萩原雅紀様の動画
“Dams in Japan”に匹敵するクオリティでした。

takane様からは明治から昭和にかけて5回行われた
国内の包蔵水力調査についての発表でした。

日本の国土に巨大なダムを造ることが可能な地点は
ほぼ無くなっているという事が昭和に行われた第5次包蔵水力調査で
分かっているのでtakane様がエイプリルフール企画で造った「どこでもダム」で
巨大貯水池を作っても実際にダム建設は困難
開発できる地点はもう開発されていて数えるほどしか残っていない
という事が解りました。

個人的にその後も何かしら包蔵水力の調査は
あったと記憶していたので現場で確認したところ
“第6次”の名前はついていないけれど小水力を含めての調査は
あったみたいです。要確認。

後半は日本のダムを数多く造ってくださり
現在はダム再開発を担ってくださるゼネコンの皆様からのホットな事例紹介。

大林組様からは千本ダムと川俣ダム

工事足場芸術で世の中の土木ファンのみならず
多くの人を圧倒した川俣ダムの現場写真が大ウケ。
あの足場は素晴らしかった。
足場ばっかりに注目されてしまったけどそこで行われていたのは
PSアンカー工法でした。
そして堤体を基礎岩盤に締め付け固定して安定性を増すアンカー工法で
あの日本刀のような美しい越流頂を持つ千本ダムが
見事に竣功時の姿を取り戻したのは感動。
そして石ひとつひとつ丁寧にカットして昔作っていたのと同じ石積み型枠で
美しい越流を損なわずに復活させてもらう事が出来ました。
メイソンリーフェイシングダム大好きな自分にはたまらん映像でした。

鹿島建設様からは新桂沢ダムと鶴田ダム

新桂沢、早く会いに行きたいです。北海道初の多目的ダム。
個人的に北海道のダムのマイルストーンだと思ってます。
そして鶴田。
問答無用のカッコよさ。
ダム再開発の「放流能力の向上」の最高の事例なのです。
2012年のICOLD京都大会では現場見学会の会場の一つに選ばれ
各国のダム技術者が現地入りしています。
あの平成18年7月豪雨の155時間50分の洪水調節。
あれを上回る雨が来ても大丈夫なように強くなったのです。

清水建設様からは鹿野川ダムと千五沢ダム

鹿野川ダムのトンネル式洪水吐は工事中から見学会が豊富で
見に行ったという人もとても多かったのです。
貫通の瞬間に一般の見学者を現場入りさせてくださったり
工事現場見学会でここまで一般の人との距離を縮めて
感動を共有してくださった事例って過去になかったと思います。
そして千五沢ダムのゲートレス化。
ゲートを除却しても必要な放流量を確保できるようにラビリンス型が採用されました。
驚いたのはラビリンスを造りたいならこの場所につくるといいよと言わんばかりに
ゲート部の貯水池側に地山が残されていたというエピソードです。
偶然にしても素敵過ぎる話でうるっときてしまいました。

大成建設様からは五十里ダムと天ヶ瀬ダム

五十里ダムの堤体をくりぬく技術が大変面白くて大反響。
まさかコンクリートをぽきっと折るとは…。
誰ですかこんな面白いこと考えたのは。
取り出された堤体コンクリートはその形状から
かまぼことかだて巻きと呼ばれていました。
淀川水系の天ヶ瀬ダムで大成建設様の工区は貯水池側、洪水吐呑口。
再開発工事が始まってから外から見ても何が行われているのか
ちっとも判らなかったしそもそも水中だから見えないんですが
こんな風に工事が進められていたのかと
見たかったところをやっと見られたというすっきり感がありました。

最後に川崎秀明先生から世界のダム再開発事例を紹介いただいたのですが
時間押し押しになっていたので半分も聞けなかった
さわりしか聞けなかった
物凄く残念。
これはまた別イベントでお話聞かねば無念すぎる。

途中でお客さんのマイクがオンになってしまって変な音が入ってきたり
会場の会議用マイクが雑音拾いすぎたり
動画の再生がうまくいかなくなったり
何といっても突然Teamsが落ちたり
きゃーーっ!!と叫びそうになることも一度や二度ではなかったのですが
その度、お客さんがみんな温かいコメントをチャットに送ってくださって
励まされ、失敗しても笑って見てくださる心に支えられて
wDN2021 ダムオデッセイは無事に終了しました。

視聴してくださった皆様
本当にありがとうございました。

トラブルに負けず頑張ってくださった現場スタッフの皆様
ありがとうございました。


来年はCOVID-19がワクチン接種で制御可能な感染症となっていて
オンラインでなくリアルイベントで開催できたらいいなと思います。

ということで帝都の安寧を綺麗になった将門塚にお願いして
地元、大和川水系に戻りました。

 

後日譚というか翌日の話


早朝から大雨特別警報が出ました。
レベル5です。


7月10日未明からとんでもない雨が鹿児島・宮崎・熊本に降り始め
線状降水帯が形成されたのです。03:25のレーダー雨量です。


10日 05:30の衛星画像です。
次から次へ真っ白の雲のお団子が生まれてくる最高に嫌な状況。


同時刻の05:30、川の防災情報を見ると鶴田ダムの下流にとんでもない雨が降っていました。


時間雨量59.5mm!
恐ろしい雨です。

全流入量1796.17m3/sに対して放流量675.31m3/s


川の防災情報で放流通知を見たところ
なんと恐怖の前線性降雨に対して
鶴田ダムは前日の14:30から放流を開始していたのです。

20:00までに300m3/sに持って行き、翌日来るであろう大雨に備えるという操作です。
これって…これって…予備放流?
生まれ変わった鶴田ダムの本則操作、まだ詳しく知らないけれど
以前は多段式一定率一定量だったけど
更にパワーアップして予備放流もしてくれているの?


03:25の発表文です。
洪水量に達したので防災操作開始です。


次々やってくる雨雲に川内川だけでなく
球磨川も心配だし耳川も心配。
どうか大きな災害が出ませんようにとお祈りするしかない状況。

日中、PCの前にいなかったので断片的に耳にはいるニュースに
不安が増していました。
帰宅してすぐ川の防災情報を確認しました。


異常洪水時防災操作開始水位を超過しているっ!!


ええええっ!!
あ、あの後、こんなすごいカットしたの?
時間雨量60mm近いのが来てるのに物凄くゆっくりのステップでピークまで引っ張って
ピーク後に放流量増やしてるけどほぼ横引きでこらえてる!
EL151.00m超過は想定の範囲内で
完璧に読みきって踏ん張ってる!!

ダム再開発の項目の一つ、「貯水容量の有効活用」で
鶴田ダムは高度管理と操作を実践してくれたのです。

鶴田ダムありがとう。
やっぱり鶴田、最高だ。