台ダム見学 その3


お水は充分で綺麗なダム湖畔。
でもあんまりお客さんもいない台ダムです。


ゲートを探しましたが見つかりません。
常用も非常用も自然越流式の坊主ダムのようです。
やはりここは「とにかく貯めるんだっ」というダムのようです。

あぁ、ここは水は綺麗だけど溜池状態なんだ。
とにかく水が無いと困るから作られたダムなんだ。
だから水質を落とさないように曝気装置を5基も持っているんだ。

安定した水道水の供給の為にある、離島のダムらしさを
ふと感じられた気がしました。


堤体を下流から見る為に下に見える道に向かいました。


道のどん詰まりが丁度、堤体の下でした。
常用洪水吐きのオリフィスゲートが中央に、非常用洪水吐きの
クレストゲートがその上に、左右に並んで見えています。
ここからこうして見ると減勢工も適度なサイズだと納得します。


減勢工の下流は草ぼうぼう。


茂り放題の植物。
この川は下流で天井川だから治水が必要なのだといいます。

都道府県レベルの治水ダム
標準サイズの堤体
自然越流式の洪水吐き
下流は堤体のすぐ下から既に草ぼうぼう

.......宇曽川ダムと同じだ.....。

ふと頭をよぎったのはそんなイメージでした。

天端の横にあったダムの説明版にはこんな事が書いてありました

         『ダムの目的』
1)洪水調節
 台ダム地点における計画高水量毎秒85立米のうち毎秒
57立米の洪水を調節する事によって、添地先の基準地点
における計画高水量毎秒114立米を毎秒60立米に低減し、
治水の安全度を高めます。

んー。たしかに。突然バケツをひっくり返したような
大雨の時に対応できるよう作ってあるという事は
解りました。あんまり在る事ではないと思いますけど。


2)流水の正常な機能の維持
 台ダム下流の既得水利である水田25haに対して、
かんがい用水を補給すると共に河川維持用水を
添基準地点において1日当り約、1560立米を確保します

灌漑用水を「補給」すると「共に河川維持用水」を
というのがみそですね。
しかも水田は25haと凄く限られた面積です。
これだけ歴史の古い島ですから耕作地に必要な
用水自体は色々在るんだと思います。
それのバックアップをする為に在るのだという事は
解りますが水田に一番水が必要な時期には
どのくらいの水が流れているのか気になります。

3)水道用水
 大三島町、上浦町、伯方町及び宮窪町の3島4町
に対し、日平均4300立米日最大6000立米の水道用水を
供給します。

やっぱりこれが一番大切でしょう!
この水道用水の確保でこのダムが稼動し始めて2年後
四国全域で起きた平成6年の異常渇水時にも、松山市が
19時間断水という異常な事態に追い込まれていたのに
この台ダムの給水を受けている地域では、取水制限のみで
断水がなかったといいます。


大山祇神社に参拝して、海事博物館と国宝館を堪能した後に
大三島町立美術館で偶然、悲願の智内兄助画伯の「面妖」を
かぶりつきで見るという幸運に恵まれ、大三島町を堪能した後、
多々良大橋を見ながら引き揚げです。

離島のダムならではの特徴があるのかと色々期待していましたが
基本的にダムの特性はその場所と水の使用目的で決まるという
当り前の事実を見ることになりました。

でも、特別な構造や働きをもっていなくてもこのダムは島の人々の
為に一生懸命、頑張っているダムです。
きっと皆から大事にされているに違い在りません。
綺麗に掃除された堤体周辺の公園からもそれが感じられました。

離島のダムにはとても変わったものもあると聞きます。
地盤の中に水が染み込んで海に流れ出してしまうのを堰き止めて
地下に貯水するという形式のダムがあるとも聞きました。

変わったダムも見たいけれど大事にされているダムを見るのが
嬉しい私でした。