宇奈月ダム 見学 その7


排砂を行うという事で宇奈月ダムのハイドログラフは実に独特だったりします。
これは排砂をする時のダム湖水位変化を図にしたものです。
2011年6月24日梅雨前線が来たとき、連携排砂が行われました。
その様子は黒部河川事務所の資料をご覧ください。
写真で見るとここまで凄いのかと吃驚します。


見学した日の放流は常用洪水吐1号ゲートからの元気の良い水と
発電所からの水でした。

連携排砂中の宇奈月ダムとはまるで別の顔ですね。


宇奈月ダムには本来のお仕事、洪水調節があります。

宇奈月ダムの洪水調節方式は
「水位偏差方式」という独特のものです。

どういうものかというと
『(洪水調節を)流入量ではなく水位によって常用洪水吐を決まった開度で開けて行く』というものです。

宇奈月ダムの洪水調節の定義は以下のようになっています。

1 流入量650m3/s以上で洪水発生

2 水位がEL.250m〜EL.253mの間は常用洪水吐ゲート(2門)で定められた水位に合わせて定められた開度に操作し放流。
「水位偏差方式」  ※EL.253mの時点で2門全開

3 更に水位が上がり全放流量が6200m3/sに達した時点で常用洪水吐を絞り「6200m3/sの定量放流」

4 更に水位が上がりEL.258.5m(9割相当水位)に達した時点で「ただし書き操作」
※上記水位に達した時点の常用洪水吐の開度を固定し放流
洪水調節はダム湖水位がEL 250.0mに達した時点で始まります。
EL 250.0mというのはクレストゲートの上端(常時満水位)の5m上になります。
ここまで水位が上がってから常用洪水吐を決まった開度で開けて行くのです。

そして水位がEL 253.0mまで達したらゲート全開でフリーフローに移行します。
フリーフローになっても放流量が6200t/sを超えない様に調整されます。
常用洪水吐ゲートの開度を固定しますが全閉にはしません。

更に水位がEL.258.5m(9割相当水位)になった時点で但し書き操作に入ります。

今年、2011年5月に突然やってきた台風2号のような(最大流入量700t/s超)
連携排砂が行われる前に出水があると
クレスト越流>>常用洪水吐で洪水調節

連携排砂の際には
クレスト越流>>排砂ゲート>>常用洪水吐で排砂と洪水調節

細砂通過放流期間の洪水(ダム流入量が400t/sを超えた時)では
水位低下ゲート(EL245.0mまで)で細砂通過放流>>クレスト越流>>常用洪水吐で洪水調節

つまり洪水時には、クレスト越流>>排砂ゲートか水位低下ゲート操作>>常用洪水吐(オリフィス)ゲートで洪水調節となります。
また、水位低下ゲートは水位がEL245.0m(常時満水位)以上になると使用しないという事になっています。

ああ、難しい。


上流にいくつもの崩壊地を持つ黒部川。
多くの観光客が訪れる国内屈指の観光地、黒部峡谷。

そこに洪水調節を行うダムができました。

その姿は他の重力式とは明らかに異なります。
山に食らいつくバットレスウォールと堤体の一体感は物凄くかっこいいです。

たくさんのゲートは他のダムとは違う操作規定を持っています。
まさに“特別仕様基体”と呼ぶにふさわしいスペック。

押し寄せる土砂と
押し寄せる水と戦い
美しい景観と
たくさんの物を守る宇奈月ダム

黒部に来たら是非足を運んでその仕事っぷりを知ってほしい宇奈月ダムでした。