内谷ダム&油谷ダム 見学 その3


上池の内谷ダムに移動してきました。
こちらは油谷ダムと違って墨入れは碧色でした。


ダムの諸元です。

油谷ダムの諸元碑より天端幅と敷幅の項目がプラスされていました。


大平発電所と内谷ダム、油谷ダムの全体図です。

型式 中央土質遮水壁型ロックフィルダム
高さ 64.0m
頂幅 10.0m
堤頂長 200.0m
底幅 302.0m
天端標高 EL738.0m
堤体積 840000m3 あれ? 諸元碑の897000m3 が正しいですね
総貯水容量 5383000m3
有効貯水容量 3960000m3


揚水時は最大で
全揚程545.55m
揚水量は91.40m3/s

毎秒90t超の水を
500m以上も高いところへ
3km以上の管路でポンプアップする!!
と、イメージするとよいかと思います。

物凄いエネルギーの移動。
これだけの質量を移動するから
きっちり余剰電力を消費できるわけです。
素晴らしい。


雪がちらついて天候が思わしくなくなってきたので
断念しましたが大平発電所のこのサージタンクが
大変個性的との事でした。


資料写真見せてもらいました。
道路の横にひょこっと巨大な頭をのぞかせているそうです。


洪水吐の越流部になります。
ゲート付きだった油谷ダムと違ってこちらはゲートレス
底を見るとわずかに草が茂って苔も生えていたので
ここしばらくは越流していないのかなと推測。

この越流部でごっそり苔が無くなっていたりすると
出水で越流したのかと心配になります。


内谷ダムの洪水吐水路に出た水は内谷川に出て行きます。
内谷川は球磨川の最大の支川、川辺川に繋がる川です。


油谷ダムと同じくかなり狭い谷に造られています。


通常、非公開ですので天端に柵も何もありません。
変位観測装置とかに躓かないように
足元に注意しつつ見学させて頂いています。


ごんごんお水が送られてきて中々の水位になっております上池。


リップラップの積みは最近流行の鏡面仕上げではなく捨石ナチュラルです。


天端を右岸から見通したところです。
10m天端幅、やっぱり広々。


貯水池側はこんな感じです。
左岸側の洪水吐越流部も見えています。


冬の寒空の下、キラキラはしていませんでしたが
水はこのくらいの透明度でした。

年に600回も上池と下池を行き来している水ですが
ここではそんなに濁っていませんでした。


冬空の下の内谷ダム。

太陽光発電のフォローだけでも大変な仕事量であるのに
令和2年、更に仕事が増えることになりました。

事前放流の要請です。

油谷ダムと内谷ダムを合わせて総量3900000m3にも及ぶ
洪水調節に使用できる容量確保と目標水位が
治水協定で定められたのです。

発電用ダムでは緊急時や点検時に水位低下ができるように
底部放流管を有しています。
水が上池と下池を行き来していて更にゲート越流高に達していなくても
この底部放流管を使う事で水位を下げることが可能です。

可能ではありますがこれは大変な操作です。
油谷ダムの下流の油谷川は急勾配で川幅もせまく
安全に放流できる量はとても少ないのです。

しかし太陽光発電のフォローもしなくてはなりませんから
絶対に確保しておかなくてはならない貯水量は譲れません。
その貯水容量は両ダムあわせて総量3600000m3です。

 太陽光の出力調整と治水協力


そして実際に令和2年の台風襲来時に事前放流が行われました。
T2010(令和2年台風10号)です。

発電専用ダムに対してどれだけの負荷をかけるのですかと
やるせない気持ちになってきます。

ダムとして
人の暮らしを守るために
オーバーワークになっても
出来る限りの仕事をするんだという
心意気がこの高度操作を支えてくれています。

九州電力様のキャッチフレーズ

ずっと先まで、明るくしたい。

ブラックアウトなんか絶対にさせない
人の暮らしを守るために
それがエネルギーをコントロールする
電力会社のプライド

冬空の下
雪が舞う中で
現地で感じられたのは
地域のために技の全てを駆使して
仕事をするカッコいいダムと発電所と人の力でした。

こんなかっこいいダムと発電所のお仕事を間近で見せていただけて感動です。
九州電力様、本当にありがとうございました。