塚原ダム 見学 その1
2012/1/1 更新
塚原ダムは今回の耳川のダム見学で
一番事前勉強していたダムです。
諸塚ダムの謎についても勉強していましたが
なんといってもHGの資料が少なかったので
専ら帰宅後の文献調査に時間を割きました。
塚原ダムといえば
・戦前に竣工したダムで最も高い87.0mの堤体
・日本初の機械化施工
・天端高欄の特徴的な意匠
・土木遺産
・近代化遺産
と、讃える言葉は数多く
知名度も抜群です。
しかし
今回私が事前勉強していたのはこれらとは別の事象でした。
耳川沿いをどんどん進んで諸塚村に入りました。
諸塚村の中心街を抜けてさらに上流に進んできました。
対岸にいくつもの土砂崩れの爪痕が続いています。
野々尾という場所です。
平成17年台風14号
宮崎県に既往最大の被害を引き起こした台風です。
秋雨前線の停滞に台風が加わり
宮崎県の山間部に総雨量1300oという
凄まじい降雨をもたらしました。
平成17年9月6日 夜
突然、この場所に大規模な土砂崩れが発生し
耳川を堰き止めました。
ここに在った山
それが斜面丸ごと川に落ちたのです。
生えていた木々も何もかもそのままに
山が落ちたのです
野々尾天然ダム
塚原ダムのわずか600m下流で起きた河道閉塞
高さ57m、幅120mもの土砂が一瞬にして耳川を堰き止めたのです。
野々尾天然ダムが耳川を堰き止めた為に
放流を行っていた塚原ダム下流の水位がみるみるうちにあがり
塚原ダムは下流から水没していきました。
約50分で野々尾天然ダムの一部が決壊しました。
塚原ダムの下流側水位は最大で62mに達し
ゲートピアのすぐ下まで水が来たという未曾有の大災害でした。
ダム本体はこれだけの大災害にも耐えました。
しかし流域の発電所は次々と土砂災害で被災し発電・送電不能に陥り
耳川の水力発電所は大きくその働きをそがれる事になりました。
事前学習でこの山体崩壊レベルの土砂崩れを知り
それでも無事に復旧して
今も元気に頑張っているという
耳川のダムの話を聞いた時には
涙が出るわ鼻水出るわでもう大変な事になりました。
なので上椎葉ダムを見るときのようなアドレナリン出まくりのハイテンションではなく
ちょっと緊張しての塚原ダム見学でした。
塚原ダムはゲート改修工事がやっと終わったところです。
平成17年から2門ずつ4年がかりでリニューアル。
右岸の7番8番ゲートは今年の6月に出来立てほやほや。
年季の入ったコンクリートの上に白いゲートピアがまぶしいです。
ゲートアップ。
下流の山須原ダムとおそろいのデザインになりました。
今は白くてちょっと浮いていますが大丈夫。
すぐに黒くなります。馴染みます。