津風呂ダム 見学 その3


左岸の管理所前までやってきました。
以前来た時に工事が進められていた管理所前の法面は
無事に枠工で固められていました。


天端左岸から見通したところです。
釣り人の車だけでなく地元の方の車も通り
そこそこ交通量があります。


でっかいダム名碑です。


利水ダムですからお水たっぷりが幸せ。
ほのぼの幸せ水位です。


思わず突っ込みを入れてしまうのが利水ダムでよくある
このギリギリ水位標。

まてまてまてーい!!
どこまで貯水位上げる気だーっ!!
ゲートピアの上端まで目盛りつけるってかーっ!!

国交省のダム管理の人が、こういうギリギリ水位標をご覧になって
どこまで水位上げるのか?と見ていてドキドキすると仰っていたことがあり
成程、着眼点が違うな〜という経験をしたもので。


網場の内側のボート乗り場ですのでこれは管理所の船ですね。
繋船設備。


堤体標準断面図がありました。
貯水池側は鉛直ではなくわずかに傾斜しているデザインです。
裾だけのフィレットではなくて天端から緩やかに広がっているので
最近のダムでいうなら八ッ場ダムと似ています。


諸元表も隣にありました。
満水位はEL236.5mなので先ほどツッコミを入れていた水位標の
上端から0.8m下ということになります。
ホントにギリギリ水位標でした。


左岸にあるのはダム建設時に亡くなった方と
水没地にお住まいだった皆様の祖先の御霊のための慰霊碑です。


管理所の前に綺麗なイラスト地図がありました。
新しく造られたのだなとわくわく近づきます。


まずはこれ。
何と言ってもこれ。
十津川・紀の川総合開発事業の説明です。

一本の川の上下流で水を貯める、水を配る、水を使う
というのはイメージしやすいですが
十津川・紀の川総合開発は物凄くややこしいです。

四国のいのち・早明浦ダムと四国四県の関わりくらいややこしいです。

早明浦ダムの貯水池に溜まった水は香川県と徳島県に届きます。
高知県には早明浦ダムに入る前の水を分水で取り入れています。
愛媛県は銅山川に設けられた富郷・柳瀬・新宮ダムから水をもらっています。
ダムがなければ銅山川の水は早明浦ダムのある吉野川に流れるものでしたので
愛媛県は早明浦ダム建設にお金を出して銅山川からの水を確保しているわけです。
なので早明浦ダムは四国のいのち。

十津川・紀の川総合開発もこれに負けず劣らずややこしいです。

水不足の奈良県大和平野に水が欲しい
水不足の河岸段丘と洪水の浸水被害で苦労の連続の和歌山県紀伊平野は治水と利水が欲しい


紀の川(奈良県では吉野川)の水を奈良県に送るために上流に灌漑用のダムを二つ作ります。
ここの水を大和平野へ。


紀伊平野に届く水が減るのでその分を奈良県の十津川に利水ダムを作って
その水を紀の川に届けて補給することで帳尻を合わせます。


更に和歌山県では別に灌漑用にダムを造ります。
これで利水はとても安定しました。


奈良県北部の水不足を灌漑用水の面でしっかりとサポートしてくれる津風呂ダム。
観光地としてとても人気の津風呂ダム。

お越しになったら十津川・紀の川総合開発の歴史にも触れてほしいです。
そして利水ダムならではの裸地の少ない美しい湖畔を眺めて心を満たしてほしいと思います。