殿山ダム 公式見学 その1
2010/5/25 更新
殿山ダムは合川ダムという別名を持っていますが
それは地図で見るとよくわかります。
日置川+前ノ川+将軍川という3本の川が合流している地点に造られたダムだから
「合川ダム」なのです。
この3本の川の集水域は294Km2もあります。
これは九頭竜ダムの集水域とほぼ同程度の面積です。
しかも紀伊半島南部という日本有数の降雨量を誇るエリアにあります。
豊富な水で水力発電に適した場所
そしてアーチダムを受け入れられる岩盤
三成ダム(1953年竣工)
上椎葉ダム(1955年竣工))
そして1957年に国内3基目のアーチダムとして竣工した殿山ダムは
国内初のドームアーチダムでした。
前回は稀に見るクレスト放流に出くわして大興奮した殿山ダムですが
同時にクレスト放流でオリフィスゲートが全く見えませんでした。
殿山ダムといえばオリフィスゲートは絶対に外せないポイントです。
そのオリフィスが見られないなんて・・・。
という事でまたまたやってきました。
これが普段の殿山ダムの姿です。
折角行くのだからという事で
関西電力・田辺電力システムセンターに電話で見学予約を入れました。
何人か声をかけましたが平日という条件がたたり
私一人の見学となってしまったのですがそれでも気持ちよく見学を受け付けて下さいました。
そして殿山ダム見学を進めて下さった川崎先生に
今度、公式見学行ける事になったんです〜♪と
嬉しさの余り、ご報告したところ、なんとなんと
殿山ダム計画時の資料のコピーを送って頂き
これで予習して下さいとの有難いお言葉が!!
川崎先生に資料頂いちゃったぁぁ♪
すっごい貴重な資料〜♪
もー熟読していく〜♪
オリフィス絶対愛でるぅぅ♪
見学ポイントも詳しく教わり、朝の早くに現地入りし見学時間まで展望台でダムを愛でます。
前回クレスト放流の時は見られなかったクレストの扉体です。
普段はこんな顔なんですね。
そしてこれが殿山ダムが誇るオリフィスゲート。
アーチダムにオリフィス!!
殿山ダムより前に竣工していた2基と同年竣工の1基には
いずれもクレスト以外に洪水吐はありません。
殿山ダムには4つの計画案が出ました。
・重力式
・アーチ重力式
・アーチダム+中央越流型余水吐+バイパストンネル
・アーチダム+オリフィス型余水吐
しかし、堤高62.0mという規模に比して集水域が非常に広く
洪水量は3000t/sに達します。
これに対応する為にスキージャンプ型、または中央越流型の余水吐が検討されました。
しかし、スキージャンプ型は建設コストが高くつきます。
バイパストンネル式はもっとコストがかかります。
クレストからの中央越流にすると3000t/sにも達する洪水量を捌くこと自体はできても
岩盤に与える影響が予測できないほど大きくなる可能性がありました。
国内初ドーム式アーチ。
それでもクレストからの放流は堤体から22mという至近距離に落下することになるのです。
莫大なエネルギーが岩盤に与える影響は測り知れません。
これ自体が、まだアーチダムに対するデータが豊富では無かった日本のダム界で未知への挑戦でした。
3000t/sの洪水量に対応できる余水吐
建設コスト縮減と安全性の確保
協議の末に決定されたのは
オリフィスゲートをつけるという当時では考えられない革新的な計画でした。
オリフィスゲートにすることで建設はアーチダムの堤体だけになり建設コストを下げられます。
クレスト越流では至近距離に落ちる水もオリフィスにすることで50m以上前に飛ばすことができます。
そしてオリフィスゲートを6門装備する事で3600t/sもの洪水量に対応できるようになるのです。
読んでいるだけでもうわくわくが止まらない凄い資料にのめりこんでいるうちに時間になりまして
殿山ダムへの入口、インクラインに移動します。
30分前に現場に行ったのですが
すでに見学の案内をして下さる関西電力の方がお二人
雨の中お待ちくださっていたので大慌て(汗)
こんなことなら朝から現地にいるんだから
もっと早く集合場所に来ていればよかったと反省。
「おはようございます」
「おはようございます」
「すいません。お待ちいただいてしまって」
「早くからこちらにお越しになるとお聞きしていましたので」
平謝り。
「今日は私一人で本当に申し訳ないんですが見学よろしくお願いします」
「はい。では降りましょうか」
「インクラインで降りるんですね」
「階段もありますけど急ですから」
「中に乗るのですか」
「中は狭いんで上の方が(ダムが見えるし)良いと思いますよ」
「ありがとうございますぅ♪」
と、ご配慮いただき、インクラインに乗って見学出発です。
わくわく♪わくわくっ♪
インクラインの台車の上から見る殿山ダムです。
かーっこええぇぇ♪