十勝ダム 見学 その4


非常用洪水吐も気になりますが
常用洪水吐の方が見たくて仕方ないので
白樺の間をもそもそ移動。


うぉぉ!!

常用洪水吐の吐口と減勢部っ♪


びしーーーっ!!と並んだ床固ブロックもいいわー♪


シルだシルだシルだらけだっ♪


吐口も個性的な縦長。

どのくらいの高さまで水来るのかなー。
これも中々個性的な水の出方になりそう。


出てきた水はバッフルブロックに当たって勢いが少し落ちて
水路幅が広がるから更に勢いが落ちて
かくっと曲がった先には連続するシルがあるわけで
あー程よく流れているところ見てみたいな〜。
個性的だな〜

そして、今年の夏に立て続けにやってきた台風との戦いで
ここからガンガン吐いて洪水調節頑張っていたのだと思うと胸が熱くなる。

◆ ◆


十勝ダムのある十勝川水系にはこれだけダムがあります。
でんぱつ様の幌加、糠平、元小屋、糠南、活込、屈足
北海道電力様の富村、岩松
北海道様の佐幌、西札内
国土交通省・北海道開発局様の農業用利水ダムで、美生、幕別
国土交通省・北海道開発局様の十勝、札内川

洪水調節を仕事に持っているダムはこのうち4基で
美生、西札内、十勝、札内川となります。


こちらは国土交通省北海道開発局様発表資料
「平成28年8月20日からの大雨及び台風第10号による出水の概要」
に載っている気象概要です。

ホントにもう、とんでもない雨が十勝川水系に降ったのです。
十勝ダムと札内川ダムの上、酷すぎる真っ赤っか。

でもこの広い広いエリアに広がる水系で
洪水調節を持つダムは4基。


水門水質データベースの暫定値ハイドログラフです。

これだけ頑張ってくれたわけですが
効果は実にシビアに出てきました。
雨が凄すぎることと、北海道ならではの河川特性が関わっていたからです。


十勝ダムの下流の基準点、共栄橋水位観測所はこの降雨でも
流失せずに耐えてちゃんと記録を残してくれていました。

ダムの効果をみる時に下流の水位観測所のデータを追いかけると
分かりやすいわけですが、降雨データを時間を追って見ていかないと
(ダム上流より下流の方が降っていたりすると凄く効果が見えにくくなる)
勘違いが起きたりします。
今回の降雨では最初にこの共栄橋水位観測所のデータをみたとき
理解不能だと頭を抱えたくらいです。


十勝ダムの暫定値ハイドログラフと共栄橋水位観測所の暫定値データを並べてみました。

まずとんでもない雨が来るという降雨予測を踏まえて
十勝ダムは予備放流を行い、洪水調節容量をさらに確保します。
上の図で赤枠で囲ってある部分です。
十勝ダムの放流と共栄橋の水位上昇は同じ形です。

しかし台風の本体降雨がやってきました。
しかも南東側から。
ダムより上流ではなく下流側に先に降雨がやってきたために
共栄橋の水位も凄い上昇を始めます。

しかし黄色の枠で囲ってあるところがまさに十勝ダムがやってくれた
バケットカットの効果に見えます。

共栄橋で既往最大の水位に達した直後
このバケットカットでぐっと水位が下がっているように見えます。

同じ形になっていないのは純粋にダム下流の残留域に降った雨が
どんどん川に流れ込んでいるからでしょう。

十勝ダムがこのバケットカットをしてくれていなかったら
この共栄橋の水位は一度下がる事もなく
ずっと上昇し続け大変な被害が出たのではないかと考えられます。

◆ ◆


青空の下の堤体直下の公園を横断して非常用洪水吐水路の方に移動します。


近づきすぎるとゲート見えない。


発電用の水路と非常用洪水吐からの右岸ルート
常用洪水吐からの左岸ルート

他のフィルダムで見たことのない個性的なデザインの十勝ダム。

竣工して30年超えました。
周辺整備もゆき届いているので是非たくさんの方に愛でてほしい名堤体でした。