天王谷取水堰堤 見学 その3


見上げるとすぐ近くに天王谷ICです。


石積の取水を目的に設けられた締切堰堤です。
底部のバルブは元々、天王谷川の下流に必要な分を流すためのものだったのか
排砂目的で設けられた物の痕跡なのかは不明です。


クレストには半円の余水吐が7つ並んでいます。


左岸側の2門からさらさら越流。
そして貯水池は満砂の不透過型砂防堰堤状態。


形状からして砂がたまるのは止むなしです。
下流からここに来るまではむしろ砂防堰堤ばっかりでしたし。

満砂状態になっていますがこれだけ綺麗に石積残っているのは
クレストにたくさん洪水吐持っていたおかげでしょう。


しかし貯水池に笹が茂りまくり…。
刈り取りたい…。


フェンスの足元を見るととても可愛いレール跡が。
ここにこんな可愛い小さな扉があったのかと思うと萌え♪


貯水池側に色々水の取り込みやバルブにかかわる設備なども
あったようなのですが全部堆積土砂の下。


うーん。
コンクリートが新しいので昭和か平成になってからの補修っぽい。
そのころにはもう相当量が堆砂していただろうし。

何といってもこの天王谷川はあの阪神大水害で
下流に大変な被害が出ている場所です。
不透過型砂防堰堤がたくさん造られているのはそのためです。

市街地に向かって一直線で流れ下る谷なので。


これは石井ダム堤体内の多目的ホールに展示されていた
阪神大水害を説明したパネルです。
昭和13年に神戸は物凄い水害に襲われているのです。

近畿地方整備局の阪神大水害紹介ページ
阪神大水害デジタルアーカイブ
では当時の写真がたくさん掲載されています。

この中で新湊川流域のmapを開くと…


え・・・!!!


こ、これ…天王谷取水堰堤じゃないかっ


きゃーーーっ!!

上流から流れてきた家が丸ごと堰堤に捕捉されてるっ!!

今と同じ石積!!
よ、よくこの状況で転倒もせずこのとてつもない土砂を補足したなぁ…
どれだけ完璧な堅牢な設計だったんだろうかっ


天王谷取水堰堤があったおかげで少しでも被害が少なくなった区間も
あったんだろうと思うとこの大量の堆砂を見る気持も変わってきます。

でも笹は刈りたいな〜。
刈りたいな〜。


新しい送水管には平成21年2月の文字があります。
琵琶湖の水が届くルート?


というわけで地理院地図のこの破線は
実は繋がっている先はこっちなんじゃないかと思います。

堆砂は進行していますがここからのお水は
きちんと水路をとおって烏原貯水池まで届いています。

神戸市水道局様の管理施設ですが貯水容量が
堆砂で圧迫されていますので流れ込み分だけが
烏原貯水池に届く状態であるとの事です。

今は琵琶湖の水が布引ハーブ園の高さまで届いていますので。

烏原立ヶ畑ダムの登録有形文化財指定の周辺施設を取材して
たどり着いた天王谷取水堰堤は水道の歴史と災害の歴史の
両方に思いをはせる事が出来て、しかも石積みがとてもお洒落な
素敵な堰堤でした。

 

心残り

また今度調べよう…。


沈澄池の奥にこっそり潜んでいるこの堰堤が気になる。


別の角度から見たところ。
中央に逆三角っぽいスリットがあるので
これが量水堰堤なのかなと思ったりしたのですが…。

烏原貯水池放水路量水堰堤というのはどこにあるものなのか
未だににわからない…。
名前からしてたぶん放水路の隧道の間のどこかにあるんだと思います。