天王谷取水堰堤 見学 その1
2020/5/11 更新
神戸市水道局・堤体三兄弟の次男、立ヶ畑ダムです。
ダムの名前は立ヶ畑ダムですがダム湖は烏原貯水池です。
文献には烏原立ヶ畑堰堤という呼び名が出てくる事も多いです。
布引貯水池の五本松堰堤こと、布引五本松ダムと同じく
烏原立ヶ畑ダムと呼ぶのが一番良いのかな〜と最近は思っています。
烏原立ヶ畑ダムは平成10年(1998年)に国の登録有形文化財に登録されています。
「烏原水源地の諸施設」として
烏原貯水池立ヶ畑堰堤
烏原水源地分水堰堤
烏原放水路・貯水池放水門
烏原貯水池管理事務所
烏原貯水池放水路量水堰堤
天王谷取水堰堤
烏原導水路石井川・天王谷川水路橋
が国登録有形文化財です。
貯水池上流に重要な施設がまとまっています。
国内初の排砂バイパストンネルを構成する施設です。
竣功時は洪水時の濁水だけを貯水池に入れずに
放水路で迂回させ下流に流すシステムです。
しかし昭和になって上流で宅地開発が進んだことに伴い
北から流れてくる烏原川の綺麗な水だけを貯水池に入れ
石井川の水は貯水池に入れずに下流に流す構造に改修されたという事です。
烏原水源地分水堰堤です。
烏原川の水をここで塞き止めて取水します。
分水堰堤と放水路を挟んで貯水池側にあるのが締切堰堤です。
締切堰堤は、大変、美しい施設です。
新緑の頃が一番お勧め。
分水堰堤を締切堰堤の上から見るとこんな感じです。
ちなみに締切堰堤天端は通常非公開・立入禁止です。
これは特別見学会の時の写真。
水は取水口から小さなトンネルで貯水池に送られます。
決められた取水量を超える分は堰堤を越えて放水路に流れて行きます。
分水堰堤の横の取水口から貯水池をつなぐ小さなトンネルがこれになります。
右上からくるのが分水堰堤を越えてやってきた烏原川からの水の流れる水路です。
正面の水路が石井川の水が来るところになります。
左側にあるのが締切堰堤です。
石井川の方向から見るとこうなっています。
正面に放水門、右手に締切堰堤です。
烏原放水路・貯水池放水門です。
設計者の佐野藤次郎技師は英国のグラスゴー大学で学んでいたという事で
神戸市水道局様の管理ダムはみんな英国の風を感じられる素敵なデザイン♪
この放水門もグラスゴー近郊のマドック貯水池に設けられているものと
そっくりさんなのだそうです。
放水路はトンネルと開渠で貯水池左岸側の山の中を進んで下流に繋がっています。
烏原貯水池には烏原川の水だけでなく隣の天王谷川からの水も入っています。
この場所は石井川からの放水路(下)と天王谷川からの水(上)が
混ざらないように水路が立体交差になっています。
このコンクリートの水路部分は明治期の物ではなく
後になって補修されたものでしょう。
放水路自体も昭和になってから補修があったという事ですし。
造りが全然違うので。
下を流れている明治期の放水路は見事な石張りです。
天王谷川の水が導水路を経由してまず到達するのがここです。
沈澱井という名前ですから濁水を留めて
綺麗な上澄みを貯水池に送るための中継点。
烏原貯水池管理事務所は堤体の右岸に残っている建物と思われます。
いつも塀が高くて中が見えないわからない。
烏原立ヶ畑ダムです。
上流の石井ダム建設に伴う貯水位低下で
堤体がよく見えていた2007年の写真です。
烏原導水路石井川・天王谷川水路橋です。
堤体直下の沈澄池の仕切壁をぶち抜いている鉄管の先が届いている水路橋のはず…。
烏原立ヶ畑ダムで一番特徴的なのは沈澄池だと思うんですが
沈澄池単体では登録有形文化財になっていないので
堤体と一体で考えられているのかと勝手に思っています。