菅沢ダム 見学 その9

わくわく進んでいくと堤体が姿を現しました。
か、カッコええなぁぁ〜♪

橋を渡って戻ってとにかく走り回ります。
スキージャンプが奇麗に見えています。
堤体の中〜低位にある箱形のオリフィスゲート室に弱いです。
三重県の君ヶ野ダム以来、この形状に凄く弱いです。

竣工してもうすぐ39年目。
この非常用洪水吐きは点検時以外、動いたことはありません。
洪水調節はすべて常用洪水吐きで行っていました。

改修された常用洪水吐きゲート。
このゲートは昨年の夏、『森と湖に親しむ旬間』の前に押し寄せる水と戦っていました。
平成18年7月豪雨の詳細は気象庁の発表資料をご覧ください。
「7月15日から24日にかけて九州から本州にのびた梅雨前線の活動が活発となった。
このため、長野県、富山県では7月15日から21日までの7日間の総雨量が
多いところで1200ミリを超え、宮崎県えびの市で1281ミリ鹿児島県さつま町紫尾山で1264ミリとなった。
24時間雨量が19日10時頃までに長野県塩尻市木曽平沢で255ミリ、
23日7時頃までに鹿児島県阿久根市で622ミリなど記録を更新した所があった。
鹿児島県、熊本県、島根県、長野県などでは、総雨量が7月の月間平均雨量の2倍を超えるなど
記録的な大雨となった。」
と、あります。
この時の鳥取地方気象台のデータでは
鳥取県の境港市の境観測点では7月15日〜24日の期間雨量が
587mmと平年の7月月間雨量の2.7倍にも達していました。
パンフレットを見ると菅沢ダムの洪水調節は
『流入量510をm3/sのうち100m3/sを放流し410m3/sをダム湖にためる』
となっています。
これがすなわち常用洪水吐きゲートの能力かというとそうではなく
ゲート自体はもっと吐く能力があるのです。
下流域に被害を出さないで行える洪水調節の最大値が100m3/sで
それ以上に放流するときはクレストの非常用洪水吐きゲートを動かさず
常用洪水吐きを使っていたとしても但し書き操作になります。
平成18年7月豪雨の際、菅沢ダムは過去に例を見ない凄まじい雨水の流入と戦っていました。
7月19日、午前1時には最大流入量 226m3/sもの水が押し寄せました。
一秒間に226トンの水がダムに入ってくる
そしてこのダムの常用洪水吐きで下流に安全に吐くことができる水は一秒間に100トンとなっているのです。
降り続く雨にどんどんダム湖の水位は上がっていきます。
直轄ダムの洪水調節は入ってきただけ出せばよいというわけではありません。
下流河川の水位を見ながら今ならどれだけ出せるかと計算に計算を重ね、放流量が決められます。
最大流入時放流量は不明です。
ただ、この豪雨で菅沢ダムはついに但し書き操作を行うことになりました。
堤体上流面のダムの名前がすべて水に沈み
クレストゲートの上端ぎりぎりまで水が来ていました。
菅沢ダムのサーチャージ水位、EL 389.60m
そのわずか10cm下。
強い風が吹けば波ができて越えられるほどの高さ
EL389.59m迄貯めたのです。
これ以上貯められない
これ以上貯めれば堤体を越流する
堤体越流させるわけにはいかない
但し書き操作の開始。
平成18年7月豪雨での菅沢ダムの最大放流量は183m3/sに達しました。

堤体直下のこの橋に設置されていた置きガードレールは常用洪水吐きからの水に押し流されました。
凄まじい水の力です。
サーチャージ水位 EL 389.60m
常時満水位 EL 388.00m
制限水位
(7/1〜7/31)EL 386.90m
(8/1〜8/31)EL 381.20m
(9/1〜9/30)EL 360.00m
(10/1〜10/20)EL 383.50m
菅沢ダムの制限水位はこんなに細かく分けられています。
限られたスペックで渇水にならないように洪水にならないように
多目的ダムの宿命を負っています。

これといって華のない堤体に見えるかい
エレベーターもないちゃちな堤体だと思うかい
ゲートも数はないさ
でも俺にはしなくちゃならない仕事がある
今もらってるこの装備でやれるだけのことをするだけさ
ストイックな闘う男の擬人化が頭の中で止まりません。
悔しかっただろうな
1983年、台風10号と戦った丸山ダムと同じだ
但し書き操作
できることならしたくなかったはず
悔しかった・・ だろうなぁ・・
2004年の福井水害の時に戦った真名川ダムのように
すべてのダムが毎回、完璧に洪水調節を完遂できるわけはありません。
2005年の早明浦ダムを襲った台風14号。
早明浦ダムは総貯水量では西日本最大のダム湖を有していました。
それが貯水量ゼロになるまで空っぽになっていたのを
一日で満水にしてしまう巨大台風が来るのです。
あの丸山ダムですら黒星が一つだけとはいえあるのです。
人の力の及ばない気象
それに立ち向かうダムはいつも精いっぱい、力いっぱい出来る限りのことをしようと頑張っているのです。
ゲートは二つ
でも非常用洪水吐きゲートは動かさない
国土交通省の誇りにかけて
諦めない
最後まで
下流から見上げて鼻水でぐしゅぐしゅになってしまったカッコいい菅沢ダムでした。
おまけ
カッコいい菅沢ダムのお笑いポイント

ダムサイトという言葉は知っていますが
ダムサイドですか
ダムの横っ腹ですね
ダム側面ですね
わざとかな?知ってて書いてるのかな?

管理所に行く道で最初に現れるトイレ
その後ろには・・

旧管理所の銘碑がっ!
建設省の文字が入ってるし使い道なかったんでしょうね。