曽我川緑地 その1

2020/6/1


奈良、興福寺です。
鹿しかいません。

奈良市では割と知られている事ですが
奈良は水不足で遷都された土地柄です。

とにかく利水面で貧弱すぎたので人口増加に対応しきれなかったのです。
なので水が豊富で利便性の高い京都に都が移ったのです。

昭和の半ばからは水資源機構のダムがいくつも木津川筋に造られたことで
水道水の安定供給に目処が立ち、奈良市には宅地造成が進みました。


奈良県の南部は北部の水不足から考えられない豊富な水資源に恵まれて
戦後に電源開発が進みました。
日本一の多雨地帯・大台ケ原があります。
南部と北部で水事情、別世界。

そんな水不足で遷都された奈良盆地にあるのが
大和川水系の川です。


大和川水系河川整備計画からの奈良エリアの図です。
一次支川、二次支川合わせて156本の川が集まって大和川になります。
その大和川が海に向って流れていく時に
奈良盆地から出ていくルートが一本しかないのです。

その出口が狭窄部、亀の瀬です。


これは奈良県のハザードマップで洪水の危険性が高い場所を示したものです。
基本的に水不足の土地柄ですので二次支川にもなる洪水のリスクは低く
盆地内の南北の川の水が集中する出口の狭窄部前で非常にハイリスクになっています。

大和川流域では本川にダムはありません。
支川にはダムがありますが残留域が大きすぎてダムだけで
本川の水位を安全に保つのは困難です。

なので大和川はこの狭窄部の対策を長年進めてきました。

大和川の水位で既往最大になったT1721(平成29年台風21号)で
被害がゼロにはなりませんでしたがとても狭い範囲に収まったのは
河道掘削で河積の増大を図ってきたおかげです。
効果絶大でした。


しかし河道掘削にも限界はありますしダムも造ることができる場所は限られます。
という事でやはり都市河川に必要なのは遊水地。

大和川中流部では狭窄部のすぐ上流に遊水地整備が予定されています。


という事ですでに整備が完了している遊水池である曽我川緑地に行ってみることにしました。


近鉄橿原線の大和八木駅から大阪線に乗り換えて一駅、真菅駅です。


駅前に大きな案内看板がありました。


てくてく歩いてすぐ到着です。


増水時には冠水します。
遊水池ですから。


堤内地から階段を上がってまず見えたのは体育館。
ばっちりピロティ構造です。


遊水池の縁にあたる周囲堤の上から遊水地南側を見下ろしたところです。
駐車場とテニスコートになっています。


曽我川緑地の銘が入った石がありました。
遊水池とは書かれていません。


曽我川にかかる橋から北を、大和川本川方向を見たところです。
右に越流堤が見えています。


増水したらここから水が遊水池に入って行きます。


越流堤の遊水池側です。

越流堤は立入禁止でしっかりフェンスが巡らせてあるのですが
どうもこのコンクリートが練習場所によいと思ったのか
スケートボードをやって居る若人が複数人…。

うーん。
転んだら怪我すると思うよ。
それよりまず立入禁止の看板の字、読めないのかな。


川から入ってきた水が遊水池の地面を洗掘したりしないように
護床ブロックが敷き詰められています。