品木ダム 見学 その1

2005/9/14 更新

群馬県は本当に観光名所が多い県ですが
老若男女を問わず大人気の観光地として
草津温泉は知名度、集客率、共にトップクラスだと思います。

草津白根山のふもとにある温泉街。
温泉で発展してきた草津といえるでしょう。

様々な効能を持つという名湯。
pH1.7前後の強酸性です。

温泉としてその湯を使う分にはそのpHは脅威でもなく
恩恵多いものでしょう。

しかしその温泉の湯は川に流れていきます。

あまりにも強い酸性であるがゆえにその川には魚が棲めませんでした。
そして農業にもつかえませんでした。
勿論、飲料水としても不適当でした。

死の川と呼ばれた川の名は吾妻川といいます。

日本一の流域面積を持つ・利根川。
794にのぼる支川が利根川を形成しています。

その中でも特に流域面積が広いのが吾妻川です。

吾妻川に治水ダムを作ることができれば利根川の洪水防御は格段に強くなります。
利根川上流のダムによる治水は群馬県の北部に偏っています。
それはこの強酸性河川に
鉄やコンクリートすら腐食していく河川にダム建設が出来ないためでもありました。

広域に影響を及ぼす強酸性河川。
護岸整備をして堤防を作ることも橋を架けることも出来ない川でした。

使える物は土と木のみ。

温泉の湧出量が僅かであれば狭いエリアの話ですむのかもしれません。
川に流れていくうちに少しずつ薄まり
多くの河川と同じpHになれば脅威ではありません。

しかし草津温泉は湧出量が極めて多く
下流河川は常に強酸性河川となっていました。

そして明治期から急激な鉱山開発が始まりました。
草津には硫黄鉱山の跡がいくつも点在しています。
今までは酸性ではなかった河川も硫黄鉱山が開発された事により
鉱山排水で酸性河川となり下流の酸害は悪化の一途をたどります。
現在も町内の石津地区と白根地区で硫黄鉱山跡から酸性水の湧出が在ります。


草津の温泉街の中心には湯畑という観光名所があります。
ふつふつと湧き出す温泉。
硫化物が白く沈殿した岩盤にエメラルドグリーンの湯が湛えられています。
それは草津白根山のカルデラ湖、湯釜の色と同じ色です。

この豊富な温泉の湯は何処に流れていくのかと流れ込んで居るはずの湯川を探します。


これが湯川です。

温泉街の中央で川の姿はありませんでした。
温泉から流れ出す湯は 暗渠を流れて町のはずれで開渠になっていました。

群馬県では分流式下水というものを採用しています。
分流式というのは台所、お風呂、トイレなどの汚水を集めて流す汚水管と、
雨水を集めて流す雨水管を別々に設置する方式を言います。

草津町の下水道では雨水と温泉の排湯は汚水管に流れ込まないように分けられています。
鉄も溶かし、コンクリートも溶かし、大腸菌も死滅する強酸性の温泉の湯は
各旅館からどんどんかけ流しという事で流れ出てきます。
それらは湯川に放出され品木ダム水質管理所で中和事業の対象になるのです。


湯川を見つけたのでそれをたどっていきます。
町の東側にある「大滝乃湯」という所に出てきました。
この隣に在るのが中和工場です。