早明浦ダム 公式見学 その6


監査廊に戻ります。
この階段は見上げただけで昇りませんでした。


そしてこんなところに定礎石が。
この場所に定礎石埋め込むダムって珍しいのかと思っていたら割とあるようです。

ここでぽつっと
「早明浦の堤体工事はどこのゼネコンさんでしたっけ?」
と、私がつぶやいたら
「間組って上の説明板に書いてた」
と、答えたのは家族でした。

興味なしのふりしてちゃんと見てるんじゃねーかっ
と、突っ込みながらちょっと嬉しい。


プラムライン室に到着しました。


早明浦ダムはノーマルプラムラインとリバースプラムラインの装備です。
これは堤体の上方向の挙動を見るノーマルプラムライン。


こちらは堤体の下方向の挙動を見るリバースプラムライン。

家族はこれに興味を示し、熱心に見ていました。
乗り鉄、鉄ものにはやはり興味を示すらしい。
コンクリートのことは知らんぷりするくせに。
ゲートおさわりの距離に行ったら興味示すかな。


大変涼しい監査廊から天端に戻ってきました。
ここでぽつぽつ雨が降り出す。


管理所前からの早明浦ダムです。
ここまで水位が高くてお水が綺麗な時に会いに来ることができてよかった。

とにかくお水をためなくちゃ
でも洪水調節もしなくちゃ
年中大変な早明浦ダムは一定率一定量方式で洪水調節を行うダムです。

“一定率一定量洪水調節方式”とはピークカットだけでなく、よく起こる中小洪水に対しても、
ダムの効果を発揮できる方式として考え出されたものです。

基準となる量に達すると一定の量しか放流しなくなりますが、
そこに至るまでの間にも流入する量に一定の率をかけた量を放流して
その差をダムに貯留して洪水を防ぎます。

これは2011年の台風15号襲来時の早明浦ダムのハイドログラフです。
ハイドログラフって何ですか?という方は
拙文「ハイドログラフで泣いてくれ」で解説していますのでご覧ください。

非常に複雑な操作を行っていることがハイドログラフからみて取れます。

一山目のピークが過ぎたと見るや、放流量を減らし
また流入量が増えたらじわっと放流量を増やし
これを繰り返しつつ


降雨が収まったのを確認したら流入量と放流量をぴったり同じにしています。


翌日、またまた大きな流入ピークが来たときにはまずピークカット。
降雨がこのまま収まると判断した瞬間にドカンと放流量を絞って
ほぼなべ底カットに近い形でダムに水を貯め込んでいます。

これが“四国のいのち”の仕事です。洪水調節をしつつ
絶対に水を無駄にしないという気迫が伝わってきます。

水資源機構は一昔前、水資源開発公団という名前でした。
私がダム巡りを始めたころはまだ水資源開発公団でした。

名前が組織を現わすといいますが水資源開発公団という名前であれば
みんなが生活に使う水を確保するというのがやっぱり伝わりやすいかなって感じます。
利水がもともとのお仕事なのです。

でもダムに求められるものは増えていき
利水だけではなくて洪水調節もしなくてはならなくなりました。

洪水調節をする国土交通省のダムで感じたことは
国土交通省には道路畑の方と河川畑の方がいて転勤も多くて
河川だけのプロフェッショナルを育て難い環境で大変だなということでした。

ひとところに長く居てその川のそのダムの働きを知り
出水を経験している方の体で覚えた知識と技術に勝るものなしです。
ダムに慣れて洪水を経験した方が今度の転勤では国道整備とかになると
折角培われた技術と知識が生かしにくくなってしまうように思うのです。
あくまで外から見ている素人の感想でしかありませんが。

水資源機構は河川と用水のプロフェッショナルの方々の集まりです。
水を安定供給するために
水から人の暮らしを守るために
ダムを操作・運用する事のプロフェッショナル。


下流にかかる橋からいつもの位置で早明浦ダムの顔をじーっとみます。

四国の命

水を貯めて人の暮らしを支える
水を貯めて洪水から人を守る

ダムは今日も静かにお仕事をしています。