令和2年7月豪雨 その1

2020/12/21 更新


令和2年の6月下旬から7月末まで
梅雨前線が日本の上に居座っていました。
『令和2年7月豪雨』です。

令和2年7月豪雨  令和2年(2020年)7月3日〜7月31日 (速報)

気象庁が発表した『令和2年7月豪雨』は
7月3日から31日までとなっています

7月3日から4日の熊本県、鹿児島県。
7月6日から8日の長崎県、佐賀県、福岡県、熊本県と長野県、岐阜県。
7月13日から14日の広島県、島根県。
7月26日から29日の山形県、秋田県。
各地で河川の氾濫や浸水被害が発生しました。

中でも特に被害が大きかったのが3日から8日にかけての降雨で
連続する雨の中で幾度も記録的短時間大雨情報も発表されました。



これは7月4日の05:00台のNHKニュースです。
大雨特別警報が出た直後になります。


夜明け前、球磨川の上にはとんでもない雨雲が居座って居ました。


24時間累加雨量は熊本の水俣で402.5mm、球磨村で365.5mm。
24時間雨量でこの数字です。


「 数十年に一度 経験のない大雨 」の文字。
画面には球磨川の下流の八代市街地が映っています。


NHKのwebニュースで氾濫発生の報が出ました。


こちらは熊川中流の人吉市市街です。
市の中央、中河原公園の上にかかる大橋を北側から見たところ。
球磨川の上流は映像左側になります。


人吉市の下流、球磨村の一勝地にある河川監視カメラの映像です。

この頃、人吉市内では氾濫が発生していました。


30分足らずで水位がじりじり上がって何軒もの家が浸水しています。


その時に流れたテロップ。

市房ダム
貯水量が増加
球磨川で午前8時半から緊急放流

異常洪水時防災操作に移行との報道でした。


この時の雨は3時間雨量でこの数字。
単純に割ったとしても60mm/hという桁違いの雨です。
20mm/hでも大雨なのに60mm/hって山が落ちてくる
(すべり面で深層崩壊が起きてもおかしくない)級の雨です。

お願いだから降り止んでくださいと
もう、お祈りするしかないレベルの雨。


球磨村の渡地区の映像です。
中央に映っているのが球磨村立渡小学校です。
球磨川本川の水位が高すぎて支川の小川の合流部で
大規模な浸水被害が出ました。


しかし市房ダムは異常洪水時防災操作を回避しました。
降雨を読みきっての防災操作です。


そのころの様子が見て取れるハイドログラフです。

発表後に、降雨のピークを越え、わずかに降雨量が減ってきたことと
人吉市をはじめ下流で氾濫が発生していることから
流入量=放流量に近づけていく操作をせずに
横引きでピークカットしてくださっているのが分かります。

◆7月6日


7月3日から4日の降雨の後も前線は居座ります。
6日には九州北部、筑後川水系に大変な降雨がありました。


この時に、官房長官発表で
「市房ダムが事前放流をしている」という報がありました。
大出水の直後に、連続して大変な操作をしているという事は解りますが
本来なら後期放流で水位低下する時に事前放流となると
ハイドログラフ見ないとここはもうわからない。

◆7月7日


そして7日になると筑後川で氾濫が発生しました。
この時、上流の下筌ダムと松原ダムが必死で頑張っていました。


そして下筌ダム緊急放流の可能性というテロップ。

これを見た時に何とも言えない違和感が。

うーん…なんか違う…
下筌ダムの下には松原ダムがあるのに
シリーズダムなのに
下筌ダムが放流したら松原ダムのダム湖に水が入るのに
津江川にはその次なのに


花月川のライブ映像ではピーク時に上がった水位が徐々に引いて行くのも
見えて居ました。
20分前より水位が下がっているのが分かると思います。


この頃、累加雨量でとんでもない数字が出始めます。
球磨川流域のあさぎり町で713.5mm、人吉市で632.5mm。


7日の夜になり、下筌ダムのコンジットはめっちゃ頑張っています。
でも降り続く雨が凶悪過ぎる。

そして下筌ダムはついにクレストゲートを開けることになりました。

筑後川ダム統合管理事務所のHPに
令和2年7月豪雨の概要と松原ダム・下筌ダムの防災操作について
詳しいハイドログラフが載っています。
しかしそれより吃驚したのはこちら
下筌ダム異常洪水時防災操作の状況
まさかの防災操作時の監視カメラ映像を動画で紹介!!

7月7日23:05
下筌ダムのクレストゲートが開きました!!

7月8日00:00
最大放流量1252m3/sに到達!!

7月8日01:50
クレストゲート閉まりました。

コンジットゲートのみの放流に戻りました。
いやすごい。
下に松原ダムが控えているとはいえ凄い記録です。

◆7月8日


日付変わって8日。
下筌&松原ペアも頑張っていますが日田市で氾濫が発生しました。


そして大雨が九州だけでなく中国地方と中部地方にも広がって行きました。


警戒レベル5の大雨特別警報が出ました。


飛騨川で氾濫が発生したのです。


累加雨量で739.5mmとかもう土砂崩れがどこで起きてもおかしくない状態です。

◆7月12日


一向に落ち着く様子がない前線性降雨。
11日から12日にかけて、またまた九州に豪雨がやってきました。


水文水質データベースで見た2020年7月1日から15日の水位です。
何度もピークが立っていて怖すぎます。
特に11日の立ち上がりの鋭さは異常!!

◆7月14日


一体いつまで降り続くんだという雨で
14日には島根県の江の川で氾濫が発生しました。

◆7月16日


このニュースでは“過去20年の同時期で最大規模”という
変わった書き方で雨の凄まじさを比較しづらかったのですが
この後、1/200年級以上の雨だったとあちこちの報道に出てきました。
日雨量400mm越え、地点によっては24時間600mm超って恐ろしい数字です。