音羽ダム 見学 その5

そしてわずかに木々の合間にのぞくのが上流部にある治水利水ダム。
「あの(治水利水ダム)名前は何なんですか」
「治水利水ダムです」
「えーっ!!そんなん可哀そうです」
「名前あるんでしょう?」
「いえ、ホントに治水利水ダムという名前なんです」
「そんなぁぁぁぁっ」
「何か名前がないと可哀そうですよ〜」
「音羽“子”ダムとか」
「音羽上流ダムとか」
「小音羽ダムとか」
「役割は何なんですか」
「灌漑用水と洪水調節と言う事で…」
「FNAか」
「FAで堤高35mだったら便覧に載る条件満たしてますよ〜」
「でもいくらなんでも名前がなかったら便覧には載せて貰えへん」
「名無しのダムはいやや。名前欲しいー」
と、現場で一番盛り上がったのが実はこの治水利水ダム。

堤高:35.0m
堤頂長:80.0m
広報室にあった図です。
こちらはこのエリアの森林が埋立地となった事で消失した森林の代わりに
河川の維持用水と灌漑用水を確保するという目的で設けられました。
堤体左岸よりに付けられているのが河川維持用水灌漑用水を流す水路。
出水時にはピークカットを行うべくゲートレスですがクレスト洪水吐も備えています。
総貯水量は112,000m3あります。

上から見るとこんな感じらしいです。

立派なダムなんです。
小さなダムですがダムと名乗ってよい条件を全部満たしているんです。
なのにどうして名前がないの・・・。
名前欲しい…。
治水利水ダムって固有名詞じゃなくて代名詞。
これは可哀そうです。
と、治水利水ダムで物凄く盛り上がった後、天端横まで行かせてくれとおねだりして
搬入車両に十分注意することを条件にそばまで行かせていただけることになりました。

天端は徒歩で立ち入り禁止なんです。
搬入車両がこんな風に通るので。
天端中央から下流を見下ろしたいんですがこれは許可が出ませんでした。

堤体横にあった諸元碑。
やっぱりこれを見ないと。
あら・・ここには天端幅は6.0mとありますね。
堤体の敷幅が60.0m。
これはタイトだ。

そして天端の端っこに『音羽ダム 京都市』の名前が入っていました。
そーか
ここって京都府じゃなくて京都市の施設なんだな〜
と、改めて気付く。
京都市は区があります。
政令指定都市です。
こういった処分場の建設でも自分達の土地で自分たちの力で
整備していかなくてはなりません。
京都府や国に頼んでも作ってくれません。
政令指定都市の宿命です。
京都市に海はなく、処分地として確保できたのは山間部。
しかしその山間部は風致地区。
そんな厳しい条件の中で造られたのがこのエコランド音羽の杜なのです。
環境に配慮し
景観を守り
限られたスペースを最大限に使えるよう
計算され建設された処分場なのです。

天端を横から見るとこんな感じでした。
堤体中ほどにあるのはエレベーター塔と機械室です。
非越流型堤体ですから。

とにかくこの絶壁っぷりに惚れぼれします。
カスケード水路にもくらくらきます。
堤体下部の側水路あたりから見上げたらどんなに凄いでしょう。

京都市の音羽ダム
最新型のコンクリート製テーリングダムです。
貯水ダムとは一線を画すそのデザイン
冬空の下、氷点下の空気
時折吹きつける雪の中に
立って居る姿は、実に、凛としていました。
埋立事業について知識を深め
堤体を鑑賞する
たくさんの方に見学に来てほしい
素敵な エコランド音羽の杜 音羽ダムでした。
音羽ダムでとても気に入ったもの

埋立地の中に立つ水蒸気がこぼれだす井桁
雪が積もる谷間にもほっそりと流れ出す
水蒸気がイメージさせたものは
ムーミン谷の冬
目の前にあるのは、かっちりと作り上げられた
埋立地の風景だったはずなのに
この水蒸気の井桁は雪深い谷間の家から
立ち上る夕餉の煙のようにとても温かく
ほのぼのとしたものに見えたのでした。