洪水吐きについて

ダムは大雨の時に水を貯める働きがあります。
河川の水量にあわせて出す量を調節しています。

下流が大雨で洪水が起きそうな時にいつもと同じだけ水を出していたら
より洪水を引き起こしやすくなってしまいますから出す量を絞ります。
その間、ダムの水位は上がる事に在ります。
ダムはその為に洪水調節の為の容量をいつも空けています。
大雨がやんで、ストックしておいた水を流して良い状態になったら
少しずつ流して満水位まで戻します。

常時満水位というのは 利水上の要請で決定した、ダムに貯める
最高水位です。ダムの能力限界の貯水量のことではありません。

サーチャージ水位というのがダムの貯水の限界値です。
洪水時に一時的に貯める事ができる最高水位を言います。

これがダムの洪水調節です。


でもダムに水を延々貯めていたらダムが壊れます。
ダムの堤体を越えて水が流れ出したらそれこそ未調整の凄い大水が
河川に流れ出す事になりますし、堤体もダメージを受けます。

その為に洪水吐きがあります。
必要以上の水をダムから調整しながら出す物を言います。

洪水吐きから出す水の調節を既設ダムの多くはゲートで行なっています。
その為に私はゲートはダムに不可欠という認識がありました。

しかしゲートレスダムというものが普及している事に驚きました。
自然越流式という一見コントロールできない用に感じる名称の
放水方法は、自然の湖沼と同じで危険のないものだというのです。

確かに四国の重要文化財・豊稔池(昭和5年建造)にはゲートなんてありませんでした。
それでも水を貯めて必要以上の水は勝手に流れ出すように作ってありました。


洪水吐きの働き方をちょっと図で画いてみました。

 通常のダムの水位はこのくらいです。
ダムからは下流の河川が干上がらないように調整しながら水を流しています。


今回の青土ダムの河川維持用水路です。堤体から流れ出るのでなく
ダム湖の中にある取水塔から地下トンネルで直接ここに来ています。

 

 常時満水位を超えると堤体から水が流れ出します。
ゲートでこれを調節するダムもありますが、出口の大きさと通り道を計算して
一定量が一定率でしか流れないようにしておけばゲート操作をしないでも
大丈夫なのです。


青土ダムの洪水吐きの水が通るトンネルです。
ここから出る水は最大でも計算された下流の河川に被害の出ない水量にしてあります。
その為に『危険は無いものです』と言う言葉が出るのですね。
  実際は自然のままの湖沼だったら大水の度に岸は崩れるし河川周囲も崩れるし
   コントロール不能なのです。だから守る為に護岸工事をしたりするのです。

 

常用洪水吐きからの出る量を超えて水が貯まり始めると
ダムの水位が上がります。出る量は決まっていますからそれを超えたらダム湖
にどんどん水が貯まります。入る方が多い状態です。

この状態で貯められる限界がサーチャージ水位です。

この時にはダムによっては下流の河川の水量をコントロールする為に通常の
河川維持用水量を絞ります。


サーチャージ水位を超えるとダムもお手上げです。
どうにも出来ませんから堤体の安全の為に非常用洪水吐きから放水を
開始する事になります。これも一定量で始まります。

ではそれを超えたらどうするの?
と、疑問は次から次へと出てきますがサーチャージ水位は異常気象による
大雨を想定して決められています。

異常気象という言葉の定義がわりと曖昧でいいかげんなのですが
「過去に経験した気象現象から大きく外れた現象」とされています。
「大雨や強風などの数時間の気象から干ばつ・冷夏などの数ヶ月の天候異常までを含む」
「一般に過去30年に一回程度で発生する現象」だそうです。

ダムにおいては今までに大きな被害を出した台風(伊勢湾台風など)の降雨を
参考に作られています。ですからサーチャージ水位を越えるという事、非常用洪水吐きを
動かす事自体が無いのが実情なのです。


最近増えている局地型豪雨、特に都市型洪水といわれるものに対しては
山奥にあるダムは実は河川維持用水を絞るくらいしか手助けできません。
ダムがあったら洪水は何でも止めてもらえると思っていると凄い勘違いを
する事になります。

都市型洪水についてはダムとは別の凄い事業が進められているのです。
その場所はまだ見学していないのですが国土交通省の事業です。
近々行きたいと思っています。

全然興味のない方には実につまらないページになってしまいましたが
最後まで読んで頂いて有難う御座います。


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