大鳥ダム 見学 その6


バスで下流側に移動してきました。

下流にある建屋は何なんだろうと思っていたら
なんと発電所と開閉所だったみたいです。
碍子がいっぱい見えていました。

「夜雀さーん」
「ほーい」
「あれ、ハウエルバンガーじゃなくてホロージェットでしたよー」
「え!! あ、ホントだーニードルが見えた〜」
「鷲と全部お揃いかと思ってたのに違いますね〜」
「でもやっぱり鷲と兄弟ですよね〜」

と、Hisa様との会話。

どちらが兄か。
それは竣工年に従いまして大鳥が兄で鷲が弟。


そして堤体直下の発電所ではなく新設された方の発電所見学。
このトンネルが涼しい。
そしてカッコいい。


奥只見ダムの発電所では丁度運転していなかったのですがこちらは運転中でした。
空気が違うんです。

そして、おざすきぃ様がしきりに首をかしげている。

「なんで発電所ってどこもこんなにぴっかぴかで綺麗なんだろう?
床とか壁とかコンクリート打ちっぱなしじゃダメなんだろうか」

確かに―。
それは言えてる。
あちこちの発電所見せて頂いたけど床はこういうビニール(?)素材でぴっちり貼ってあるし
カラーコンクリートで十分耐えられそうなのに凄く綺麗になってる。
壁は塗装してあるけど別に打ちっぱなしでもいいんじゃないかと思う。

これは何か絶対、理由が有るに違いない。
判らないけど。


お約束。
室内は14℃。
とても涼しい


そして運転中の水車の上まで近づかせて頂きました。
とにかくどこもかしこも綺麗なんです。

こんなに綺麗にするって言う事は
埃があるとよくないってことかと。
なのでピッカピカにする必要があるんじゃないかと思って見ていました。


発電所見学を終えてとぼとぼしていたら電源開発の方がどうしたのかな?
という顔をされたので正直に

『曲線重力式って銘板に書いていて大ショックでした〜』

と、言いました。

すると

「大鳥はアーチ効いてますよ。重力式アーチと認識していただいて問題ないですよ」

という天にも上るようなお言葉が返ってきたのです。

さらに秘蔵資料登場。


これ。

私が満面の笑みで両手を出した時に
 「あげないよ」
という鋭い突っ込みがはいりました。

何で判ったんだろう?


ぺらっとページをめくった瞬間
こんな凄い図が目に飛び込んできました!!

直線重力ダム案!
大鳥が重力式!


更に更に中空重力式案!!!

もう大騒ぎ。

偶然横に立っていたロックハンマー様にこれ持ってください!!と
本を持って頂き、コンデジで撮影。
横に立っていただけで問答無用で使われたロックハンマー様、ありがとうございました。

「大鳥、GAだったよぅ〜」

と、Hisa様に喜びの報告。
この本はその後、takane様の手に。
皆で回覧。


大鳥ダムは
アーチ式・直線重力式・中空重力式・ロックフィルのどの型式がベストか検討されました。

ロックフィルは現在の場所よりも下流500mの地点が良いとされましたが河床の砂礫が深いという理由で一番に除外されました。
アーチ式は二心変厚ドームアーチで巨大水圧鉄管は堤体の横に設けたスラストブロック内を通過という計画でした。

中空重力式と直線重力式も検討されましたがアーチ式にする事でコンクリート量は重力式の約50%という経済性が評価されました。
しかし構造面では重力式が良いという結果もでていました。

岩盤を調べていくと重力式ダムとして必要になるコンクリートを打設する際に上部でかなり硬い部分が有ることがわかり
これを掘削してコンクリート量を増やさないと安定上好ましくないため重力式は作れないという事も判明しました。

直線重力式ダムの工事費を増加させない
アーチ式はコストが安く済むが山の地質に大きく左右され、地質によっては工事費が増大する


そこで電源開発は安定性・経済性・その他諸々を考慮して新しい型式『セミアーチダム』という物を造りだしたのです。

薄いアーチでは両岸に重力アバットメントが必要でしたが
この場所においては厚いアーチならアーチ推力が小さくなり
地山も変形をおこすような要素はないので大丈夫という事になり
大鳥ダムは最終的に直線重力式かセミアーチかという選択に至り
結果、セミアーチ式となったのです。

肉厚アーチ=重力式アーチは理解できていましたが
重力式アーチ≒曲線重力式は極めて似ているが非なる物と思っていました。
アーチアクションが効いているかいないか
敷幅が長いか短いか
見分けるのは素人では不可能という事もわかってきました。

セミアーチ。
それは二津野ダムで初めて耳にした言葉です。

二津野ダムはアーチなので変だなと思っていたのですが
説明を下さった方が七色と二津野を多分あわてて言い間違えたのを
深く考えもせず鵜呑みにしていたので、そのまま間違えて覚えていて
セミアーチはアーチに属する何かで重力式アーチとも別の何かと認識していたようです。

今回やっとでんぱつ様のセミアーチの定義が理解できました。
重力式アーチという名称ができる前に造られた肉厚アーチの呼称。
それがセミアーチです。

でも型式がGAであることを確認したことよりも嬉しいのは
中々見られない大鳥ダムを見せて頂けたこと。
極太水圧鉄管の大迫力を目にして凄く楽しかったこと。

いちいちうるさく質問する私を煙たがらずに
一つ一つ説明を下さった電源開発・小出電力所の皆様
本当に貴重な見学をありがとうございました。