大谷溜池 その5


底樋(胴樋という記述があるけど)の入口はきちんと扉があり施錠されています。
その扉の前から副ダムの方向を見たところです。


管からの水が出ていました。
道中、送水管はいくつか見られましたが
破断している物と繋がっている物があったので
この管が生きているのかはここだけ見るのではちょっと分かりません。


しかし立派な水褥池が造り上げられています。
ホントにこの副ダム素晴らしい。


来た道を引き返し、天端に続く道を登って行きます。
道を塞ぐ木々などは枝打ちされていて
足元がちょっと悪いところはありますが
そんなに難易度が高い道ではありません。
お手入れされた山道です。


てくてく登って行くと前方が明るくなりました。

あ、天端の親柱見えた。


無事に到着しました。
お陽様の光がダムに届く前の時間でしたが
充分に辺りは明るいです。


いきなり目に入るのがこの注意書きです。

「あぶない ダムの中へ入らない 泳がないでください
(株)日立製作所 笠戸事業所」

あ、これは間違う。
日立製作所の所有ってこれだけはっきり書いていたら
工業用水だって思うの無理もない。

それでまたあの
「日本の近代土木遺産-現存する重要な土木構造物2800選-」
というメジャーな文献や
「近代土木遺産の保存と活用」
とかで思いっきり“工業用”と書いてあるから
そう思い込んでしまう人がいるのは責められない。

自分もストーニーゲートの件で引っ掛かったし。
大事なのは間違いに気づいたらちゃんと修正する事の方だと思う。


現地入りしたダム仲間から聞いていましたが
とにかく石が凄く立派で上質であるということが特徴と言えると。

確かに立派で美しい石材です。

黒い所はコンクリートダムと同じくカビであると思ったのですが
もしかしたら空襲対策で黒塗りされているかもしれないなと
ふと思ったりしていました。
徳山も空襲受けているし。


クレストの洪水吐です。
ちょっと見ていて石積が崩れてしまわないかと
怖くなるほど蔓草が茂っています。
これは取った方がいいなぁ…。
堤体が危ない。


高欄は天端両岸で袖を造っています。
とにかく造りが豪奢。


貯水位はこのくらいです。
取水塔は堤敷に向かってわずかに裾広がりで安定感があります。

残念ながらこの水位でフィレットは見えないです。


貯水池の横に道が続いていたので少し進んでいくと
多分この道の整備をしてくださっている皆様のお手製であろう
手作り案内図が灌木に取り付けられていました。

ここ、大谷溜池の上流にはもうひとつ溜池があるようです。


貯水池全景です。
コンパクトな貯水池。
工事誌によると総貯水量は116580m3だという事です。

日本ダムアワード2017で洪水調節賞を獲った
長崎県の男女岳ダムより少し少ないくらいですね。
堤高はこっちの方が高いです。


こちらが取水塔のバルブ室です。


ここに見事な筆で銘板が挙げられています。

池 溜 谷 大

日産コンツェルンの総帥
重工業の父と呼ばれた鮎川義介翁の筆です。

格式高すぎる。