大久保山ダム 見学 その2


橋の上から余水吐水路を見たところ。
この消失点まで続く水の流れが凄く綺麗です。


お客様用に建てられている説明板発見。


堤高55.8m
堤頂長170.0m
凄いタイトな堤体ですね。
アースダムの縦長系ですね。

先ほど見とれていた水路は425.0mもあるそうです。
そりゃ迫力満点なわけだ。

そして水没保証は家屋一世帯。
殆どは山林だったようですね。


中央コア式ゾーン型フィルダム断面図。
大久保山ダムはアースダムです。
でも説明板にはアースダムという文字は出てきていません。
でもこれは間違いでも何でもなくとても正しい書き方なんです。

アースとロックフィルの違いってなんですかとよく聞かれます。
その度、説明に苦労するのがフィルダムの区分。
私もあいまいな認識だったので勉強しました。

以前、ダムの中の人に質問してお答をいただいたので
ここで紹介。

フィルダムは遮水方法で区分する方法と
堤体を構成する材料で区分する方法があるんです。

遮水方法によると、表面遮水フィルか、ゾーン型コアフィルか、均一フィルという区分になります。

先日見てきたアスファルトフェイシングフィルの八汐ダムは表面で遮水しています。
堤体内に水は浸透しません。表面でブロックされますから。

ゾーン型フィルダムは傾斜コアか中央コアですが
いずれも水を通しにくいコア部分で遮水します。
なのでコアまでの部分には、ある程度、水が浸透します。
コアでブロックするので問題ありません。

均一フィルは遮水部分がないので堤体にじわっと水が浸透します。
遮水部分がないので造りが弱くなります。
そういう事もあって均一フィルで30m以上の物は地震の多い日本では認可されません。

ダム湖側をコンクリートブロックなどで固めているアースダムをよく目にしますが
あれは堤体法面保護であって遮水とは別なんです。

ちなみに多くの川の堤防というのは断面で考えると均一フィルと同じです。

そして構成する材料で区分はというと
世界大ダム会議において、このように定義されています。

Earth Dam(Earthfill Dam)
堤体の50%以上が、土取場から採取され、締め固められた細粒材料によって占められるフィルダム

Rockfill Dam
堤体の50%以上が、自然状態あるいは砕石などの浸透性の高い材料で、締め固めるかダンプするかして造られるフィルダム

という事で大久保山ダムはセンターコア・アースフィルダムという事になります。

無事解決。


天端から余水吐を見ると足元はこのようにごつごつ岩が広がっているのですがアースダム。