小丸川揚水発電所上部ダム・下部ダム 見学 その1

2018/9/11 更新


宮崎県は児湯郡木城町にあるピノッQパークにやってきました。
九州最大の揚水発電所、小丸川発電所の展示館です。

小丸川発電所の上部ダム・大瀬内ダムと下部ダムの石河内ダムの見学を
させていただけることになったのです。


小丸川発電所の見学ツアーは土日祝日に実施されています。
個人で見学は土日祝で予約優先
午前は9:45受付終了で10:00発
午後は13:45受付終了で14:00発
各回22名までOKだそうです。
木城町のHPにも情報があります。
詳しくはピノッQパークに電話で聞くのがよさそう。


こちらでは下部ダム・石河内ダムのダムカードも頂くことができます。


ピノッQパークに隣接する広大な公園は中八重緑地公園といいます。
元々は谷間でしたが小丸川発電所工事に伴って発生した土砂を
この場所に埋立して造り上げたのだそうです。


朝の早い時間にもかかわらずご家族で訪れた車があり
子供さんが全速力で向かった先には
大人気のふわふわドームという大型トランポリンがあり
何度も来て遊んでいるらしくすぐにぽーんぽーんと
飛び跳ね始める様子を見ることができました。
すごくやりたかった…けど我慢。


見学前にお勉強。
小丸川発電所の説明ビデオを見せていただきます。


小丸川発電所の紹介ビデオはYouTubeでも公開されています。
『九電チャンネル』でも色々なビデオが見られますのでぜひご覧ください。


ビデオはじまり〜。


小丸川揚水発電所は九州電力様が管理している
揚水発電所3か所のうちで一番新しい施設です。
平成19年に営業運転を開始した九州最大の揚水発電所でもあります。


上池を形成するのはAFRDの大瀬内ダムです。


アスファルトで表面を覆って水を溜められる構造です。
ダム湖全部が水槽構造になるように表面遮水工を施されており
その面積はこの型式で国内最大の300000m2です。


下池を形成するのは重力式の石河内ダムです。
巨大なラジアルゲートが並ぶ重厚なデザイン。
特徴は何といっても出っ張りがないすっきり天端。


小丸川揚水発電所をはじめ九州電力様が管理する大平、天山の揚水発電所は
近年、すごく仕事が増えています。

その理由が再生可能エネルギーの中でも特に
太陽光発電の発電電力量のコントロールに関わっていることです。


FITこと再生可能エネルギー買い取り制度がはじめられたことにより
九州地方では太陽光バブルが生まれたのです。

FITにより国内各地に普及が進んだ太陽光発電ですが
基本的に風力と同じ不安定電源です。


九州全土で太陽光発電がものすごく増えたということは
ものすごい量の不安定電源が出来たという事になります。

晴れていればガンガン電気を生み出すけれど
ちょっと陽が陰っただけで出力はすーーーっと落ち
雨でも降ればいきなり発電量0になります。

電気は造り置きができません。
必要な分だけ需要予測を立てて発電して消費する流れになっています。

少ないともちろん停電しますが
過剰な場合は周波数に電圧が乱れることにより
発送電施設が損傷する危険が起きてきます。

過剰に作り出される電気が設備を痛めつけて
大停電を起こす引き金になってしまうのです。


そんな不安定な電源でも夏場はいいんです。
クーラーなど使用量がとにかく多いですから
発電した分、全部、まるっと消費できるし。


太陽光で発電した分と需要曲線の間を埋めるのは火力発電。
最近のガスタービン型の火力発電所は出力調整が早いんです。
古くからある定番の汽力型は立ち上がりも調整もある程度時間を要しますが。

定格出力でベースロード電源を担っているのが
汽力型の火力発電、水力発電、地熱発電、そして原子力発電。

そして水力は対応スピードが最も早いのが特徴ですから
ピークフローしそうなときはもちろん一番に動き出します。


しかし
需要曲線が減る晩秋から早春。
お天気さえよければ発電しまくる太陽光。
こうなってくると発電しすぎの時間帯が出現してきます。

このときに電気が過剰にならないように
余剰分だけ電気を消費する所が必要になります。

この余剰電力で揚水発電所では下池の水を上池にポンプアップしているのです。

そして太陽光発電の怖いところは需要曲線を無視して
陽が傾いたらいきなりひゅーーんと発電量急降下!
でも世の中はまだ電気、昼間体制で使ってるよーという状態が発生してしまうことです。
朝も同じでまだ発電できてないよ〜という時間から電気が使われ初めて追いつかない。
その時、需要曲線との間を埋めるために揚水発電が仕事をするのです。

今まで原子力発電とペアで考えられることが多かった揚水発電所ですが
電気が足りないところをきめ細かく埋め
電気が余りそうになったらしっかり使って安定させる
とてもとても働き者の九州電力様の揚水発電なのです。

でも島嶼部になってくるとこういう過剰な電気の安全弁がないし
太陽光はやっぱり不安定電源。
安定した電気供給を脅かす要素大きすぎて不安材料。
自分のおうちだけとかならそんなに問題ないと思いますが…。