奥多々良木発電所見学 その4

雨がさらに強くなってきましたがトンネルに走りよります。


シャッターの合間から中を覗きます。
監視カメラを見ている職員の方がいたら間違いなく不審者として
通報されるような光景だったかと思います。
早く入りたい〜  と、ぷるぷる嬉しさを噛み締める私の頭に
無常の雨粒が降り注いでいました。


例によって早く着きすぎました。
見学申し込みの予約をしたのは9時で現在は8時半。
周囲の整備された自然公園のような風景を眺めて時間を潰します。


関西電力 奥多々良木発電所正門です。
もうすぐ...もうすぐ中に入れてもらえるっ♪
と、はしゃいで正門前を檻の中の熊のようにうろうろする私を見かねて
職員の方が扉を開けてくれました。

中に入ってすぐ、関西電力が発電所に併設しているPR舘という建物に
案内されました。私一人の見学でしたが気持ちよく迎え入れてくださった
担当者の方の笑顔に雨にぼとぼとに濡れた事も忘れてしまいます。
   (実は5人以上で無いと見学は受け付けていなかったのです)

揚水発電のシステムは私の場合、基礎的な事は事前学習が済んでいるので
聞きたいお話を失礼承知で単刀直入に伺います。

Q: ダム建設の際にロックフィルダムを選択した理由はコスト面からか。
A: 建設の条件が揃えばコスト面で確かにロックフィルダムは優れています。
(岩石の現地調達・資源利用という点で)
ただし、地質、地形によって当然他の形式のダムが選択される場合もあります。
この地のダムの場合はロックフィル式が最も適当でした。
Q: 建設費用が割高になるにも関わらず地下トンネルでの揚水発電施設建設を選択した理由は何か。
A: 山の斜面を走らせるパイプはその地形の影響を受けますが地下にすれば最も有効な落差を持たせる事ができます。
もう一つの理由は環境面への配慮です。地表にパイプを走らせていない為に、この土地は自然な山の姿をそのまま残しています。
Q: 現在滋賀県で建設が中断している金居原揚水発電所について工事再開の目処はたっているのか。あれだけ地元に道路整備などをして貢献しているのに肝心のダム工事が中断するのは誘致をした自治体にとってもダメージではないのか。
A: 天然記念物の猛禽類の生息が観察されたという事で中断していますが、なにより電力需要の伸び悩みが工事を進める事ができない状況の一番の理由です。家電を含め、メーカーは消費電力の少ない商品開発に力を入れていますし、ピークフローのような特殊な状況で無い限り電力は安定供給されています。電力が足りない状況が続けばすぐにでも工事は再開できると思います。

前からずっと聞きたかった事に答えを頂きニタニタ笑いが止まらない私に
では地下トンネルに行きましょう と声がかかります。


PR舘の前に車が用意されていました。
私一人の為に広報担当の方と運転手の方が同行してくださいます。
うぉぉぉ。こんなVIP扱いを受けてよいのだろうかっ(汗)


先ほど張り付いていたゲートのシャッターがゆっくりと開きます。
いよいよ地下トンネルに突入です♪