大河津分水 見学 その3

大河津分水資料館から移動してきました。
第二床固工の横にある資料館です。

当日は暴風雨の中、次々とお客さんがお越しになっていて
それも一般ではなくて業界の方々が多くて
説明担当の方もとてもお忙しそうで
詳しいお話を聞くことができなくてしょぼーん。

とりあえずマスコットのにとこちゃん。

バッフルピアがのっかったデザインの減勢工帽子と
大河津分水路タスキ。
これは作れそうだ。
布より段ボールとかのほうが形崩れなくてよさそう。

しっかり説明パネルを読めば理解できるはず…。
という事で説明パネルを必死で読む。
まず、現在地第二床固工改修工事で行われることは4つあるとの事。
・山地部掘削
・新第二床固
・魚道
・野積橋架替
橋の架け替えに魚道に新しい床固めを造るのはわかるけど
山地部掘削ってなに??

疑問符の答え。

大河津分水は分水路の入口が広くて出口が狭かったのです。
ああああああ。
そりゃ怖いに決まってる!!

先ほど居た大河津資料館のある辺りで分水路の川幅は720m近いのです。

しかし出口では180m近くになっています。
めちゃめちゃ出口の方がせまいです。

これは大洪水が来たら下流に狭窄部があるのと同じ構図ですから
上流水位が上がるのは必至。
川幅を広げれば流れやすくなって水位は下がります。

そして莫大なボリュームが押し寄せてくるので築80年以上経過した
第二床固工自体が老朽化対策が必要な事態に。

現在の第二床固の高さは約5m。
落差工の下流というのはどうしても洗掘が発生します。
護床工としてコンクリートブロックを並べてもブロックは削れるし傾くし
床固でがちがちに固めても表面からじりじり摩耗して擦り減っていきます。
一回造っちゃえばメンテナンスフリーなどという河川構造物はありません。
第二床固工は分水路の末端の構造物です。
川幅が狭く、水が分水路内のどこよりも厚みを増して通過するわけで
そりゃ傷みも激しいだろうと。
そして河床が削られて沈下し始めると河床とつながっている山脚がとられて
横の山まで地滑りを起こします。繋がっているんだから当然の反応といえます。
水位がものすごく上がることで河床と山脚が削られて地滑りが起きたら
この地点で分水路が崩壊土砂で閉塞したらとてつもない被害が出ます。
信濃川下流の分水路ができてから100年の間に乾いた土地となり
道路や鉄道が通り、宅地化された流域。
洪水から縁遠くなった流域に大河津分水路が流せなくなった水が全部押し寄せたら
燕市から新潟市まで、川幅が狭くなって造られた官公庁街だって
浸水するかもしれません。
絶対に分水路で地滑り閉塞なんて起きてはいけないことなのです。
なので、水位を低く抑えられるように水路幅を広げなくては
問題の根本が片付きません。

この模型で黄色の点々で示されているのが現在の分水路左岸のラインです。
どーんと100m川幅を広げるべく山を掘削するわけです。
納得した。
そして新しい床固を作って現在の魚道よりもいろんな魚が遡上できる魚道をつけ
新しい第二床固の位置が下流の野積橋と近いので橋も架け替えるという計画。
ここでまた小さい疑問符。
第二床固の新しい物を造るから新第二床固なわけですが
なんで第三床固と呼ばないのか。
どうしても第二床固である必要があるらしい。
新設だけど役割継承するから名前は引き継がないといけないのか。

資料館の屋上から見た現在の第二床固です。
何故か風雨が激しいのに漁師らしい人々が5人以上、川に入っていました。
手には網がありました。何を獲っているんだろうか。
ひたすら寒そう。
新潟で秋口というとアカヒゲというエビだろうか…。

工事が進む新第二床固の様子です。

漁をしておられる方々が一緒に写っているので
巨大バッフルピアの大きさ比較にはちょうどよかったです。

対岸を見るとマーカーが二つ設置されています。

上のマーカーが示しているのは既往最大の出水となったT1919で上がった水位。
その下は平成23年7月の新潟・福島豪雨災害で上がった水位を示しているそうです。

第二床固は旧可動堰を建設責任者・宮本武之輔技師の渾身の作品です。
大河津分水を勉強し始めた時に一番最初に泣いたのが
宮本武之輔技師の、旧可動堰の完成直前にあった洪水の対処でした。

完成直前の現場で本川の下流を救うために仮締切を切ったその判断。
誰のための構造物か
誰を守る為の物か
現場が水没し、水に破壊されてもよいという決断
守るべきは人の暮らし
洪水で苦しむ人のために進められている工事現場で
誰よりも完成を一日も早い完成を望んでいたはずの現場責任者が
仮締切を切れ
分水に水を流せ
本川の洪水を逃がすのだ
という判断をしたこと
もう泣くしかない。

そして初めて現地に来た時に感動して設計図の前で足が動かなくなってしまったのが
岡部三郎技師が設計採用した初代可動堰の自在堰・ベアトラップゲートについてでした。
大好き。
ホントに好き。
大河津分水通水100周年の今年
たくさんの方に現地に行ってほしいです。
そのスケールと
その影響の大きさと
関わったエンジニアの誇り高い思想と
頑張って仕事を続ける構造物
これだけの物を学べて感動できるところはそうそうないと思います。
是非、お天気の良い日に足を運んで欲しい大河津分水でした。