小原ダム 見学 その3

関西電力の方が中で用事をしておられるのを門の横でじーーっと待ち構えます。

用事を済ませて出てこられた若い職員の方が私を見つけられた瞬間に御挨拶。

「おはようございます」
「おはようございます」
「すいません。関西電力の方ですか」
「はい」
「このダムの事で質問が有るんですが」
「え?なんでしょう」
「堤体を下から見た時に真ん中あたりにみっつ穴が開いていますよね」
「穴?・・・あ、ああ、はい」
「あれって何の穴ですか。
中空重力式のダムによくああいった穴が開いていますが
ここは重力式ですよね。
中空重力式の換気孔とは位置も異なりますし
何の為に開いている穴なのかとても気になって」

若い職員の方、しばし考え込み・・・

「すいません。ちょっと先輩に聞いてきます。お待ちください」

先輩♪
ダムの先輩♪
凄い詳しい方がお越しになってくれるんだろか♪
わー嬉し―♪

と、満面の笑みでお待ちしていると管理所から優しそうな方が出てこられました。

「おはようございまーす」
「はい。なんでしょうか」
「越流部の下に穴が開いて居るのが見えたんですがあれは何の穴ですか」
「あ、あれは土砂吐です」
「おぉ。土砂吐ゲートなんですか」
「貯水池の方にスルースゲートが有るんですよ」
「土砂吐にしてはかなり高い位置にあるような印象なんですが―」
「うーん。でも土砂吐なんです」

と、ここで堤体の該当部分を指で指し示そうとされた時に敷地に一歩踏み出す。
そして固まる。

「入ってもいいですかっ」
「いいですよ。こちらからなら見えると思うんですが・・」
「写真撮っていいですかっ」
「(笑)いいですよ〜」


と、管理所の方が指示された方を見たところ。

写真下に右岸の発電所への取水口。
右にちびっと堤体。

「あそこにみっつ、出っ張って居るところが有るでしょう」
「あ、バルコニーみたいになっているところですね」
「そうそう。あそこに土砂吐のゲートを操作する機械が有るんですよ」
「あー!判ります。あそこからハンドルとスピンドルがゲートにつながっているんですね〜」
「そうです。今は使っていませんけど」
「そうらしいですね。ダムの排砂と流塵・流木は今は下流にパスできないって聞きました」


矢印で示したバルコニーのような部分。
この部分にゲート操作の為のハンドルとスピンドルが有るわけです。
真下に例の穴があります。

どんな構造かピンとこない方もいらっしゃるかと思うので
和歌山県の防災ダム小匠防災堰堤のスルースゲートで説明。

堤体に開いている隧道をふさぐためのスルースゲートです。
構造的にこういう感じ。
板をおろして穴をふさぐ仕組です。


管理所前から見たダム湖です。

「今年はややこしい天気続きで融雪出水多いらしいですね」
「ここも今朝まで60t/s程吐いてましたよ」
「えええっ!下の小牧でさっき2門放流しているのを見たんで
上流でももしかしたらって思ってましたが」

と、放流情報までいただいてしまいました。
突然お邪魔して質問攻めにしてしまったというのに
にこやかに対応して下さった管理所の方、ありがとうございました。

祖山ダムといい、庄川電力システムセンターの方は皆さんとっても優しいです。
お国柄?


ダム湖を上流側から眺める為に移動します。


先ほど説明をいただいてた場所をズームで。
右岸下流側にある発電所にここからお水が向かいます。
お水満タン小原ダム。


丁度バルコニーのような出っぱりが天端の意匠に紛れて上流から見ると
カモフラージュされてしまうんですね。

いや、私も教えて頂いていなかったら全く分からなかったです。
ここでバルコニーのような出っぱりがあることと穴の数を見てピンとくるって凄いことだと思う。


60t/sの放流直後でまだ放流の痕跡が残っている小原ダム。
水流の跡は3月の暖かさはまだまだ少ない日差しの下で乾き始めていました。

皆があの穴は何なのかと
ずっと不思議に思っていた小原ダムの謎の穴。
それは排砂の為の土砂吐だったのでした。

相変わらず小汚い格好でうろうろしていた不審者のような私に
丁寧に説明を下さった小原ダム管理所の方にお礼を申し上げます。
ありがとうございました♪