尾口第一ダム工事 見学 その1
2011/6/29 更新
季節外れの台風が接近していた2011年5月末。
どこに行っても雨。
太平洋側全部雨。
という休みの日。
ふ・・・太平洋側がダメなら日本海側に行けばいいじゃなーい♪
というノリでプラっと家を飛び出して
出かけましたのは手取川方面。
尾口第一ダムの工事が進んでかなり堤体が出来上がっているとお聞きしていたからです。
上流から流れくる土砂にその身を削られ、バトルダメージが蓄積していた旧堤体。
土木学会選奨土木遺産にも選ばれていた、ゲートハウスを持つ名堤体でした。
しかし尾口第一ダムのダメージは年々深刻になり
最前線で戦うには辛いほどに疲弊していました。
ダムは仕事ができなきゃだめなんだ
飾りじゃないんだから
土木遺産の称号を頂いたことは嬉しいけど
名誉職じゃないんだから前線で働きたい
だから
手術受けさせてください
と、尾口第一ダムが言ったわけではないけれど
新しく生まれ変わるために2008年から工事に入りました。
工事が終わったら見に行こう。
更に堅牢になった姿を見に行こう。
という事で太平洋側は雨で大変な時にまだ降っていない手取川上流に到着しました。
数日前からの降雨で水に濁りが出ています。
といっても尾口第一ダムの直上流で合流する3本の川、蛇谷川、中ノ川、丸石谷川のうち
濁った水を出しているのはゴリゴリに堤冠を削られた砂防堰堤を超えてくる中ノ川だけなんですが。
路肩の少し拡幅されたスペースに車を止めて工事現場を道路から見下ろします。
足元注意。
現在は堤体のあった場所の川を半分に仕切って右岸側の堤体を打設中です。
川の水が全部左岸側に流れるように川の真ん中に大きな盛土。
打ち込まれた鋼矢板の上には1t袋が並んでいます。
そして作業のためにドライにしている右岸側にも
山から水は出てくるので、ポンプが設置され
何本ものホースで盛土を越えて左岸側に排水しています。
にょーーーんと伸びている長い長いアーム。
コンクリートポンプ車です。
福島第一原子力発電所の海水注入で一躍有名になりました。
一般の人の目には珍しいこの車も土木に関わる人なら皆知ってるメジャーな車。
離れたところへ、高いところへ、にょーーーんと伸びたアームで狙い通りにコンクリートを送ります。
もちろん水も送る事が出来ますよ。
天端は旧堤体ではスーパー林道の路面より一段下がっていましたが
新堤体では同じ高さに揃えられていました。
う・・・
という事は
堤体の高さ変わりますか?
ダム便覧のデータによると旧堤体は28.4m
新堤体は26.9m
・・・・。
何故縮んだ。
という事で見た目は背が高くなったけど天端橋梁があるというだけで
実際はコンパクトになったというマジック。
工事の説明板も二度の冬を越してしおしおになってきてますね。
この夏と秋を過ぎたら新堤体として本格始動ですよ。
しかし“除却”って聞き慣れない言葉。