室生ダム 見学 その3


左岸に在る室生ダム管理所です。
天端の真横に立っています。耐震補強あり。

ダムカードを貰う時にもお邪魔しています。

管理所の見学をお願いしてコントロールルームを見せて頂きました。


管理所で何故か一番に目についてしまった室生ダム上流のラバーダムの図。

こ・・・これ・・可愛いっ♪
まんまるぷくぷく♪
堤高6mのラバーダムってでっかいのに可愛い。

また見に行くポイントが増えました。


コントロールルームの一角。
気象庁が観測している降雨データが表示されるモニターに
流出予測システム、ダムの監視カメラのモニター。

MICOS

見学に行った日はちょうどそれなりに降雨があったので
エリアに雨域が到達していました

流出予測システム

これが洪水調節のキモです。

当たり前の事ですが
ダムは造られる場所によって一基ずつ形が違います。
ダム湖の形も違います。
地形も違います。

そして水位の標高によって同じ1mでもためられる水量は異なりますし
ゲートにかかる水圧も異なります。

ゲート中央まで水位があがっている時にゲートを10p開けた時と
ゲート上端ぎりぎりまで水が上がっている時にゲートを10cm開けた時では
水圧が全く違いますから同じ量が出るわけではないのです。

この辺りが難しい所。
だからダムの頭脳、ダムコンはすべてオーダーメイドしなくちゃいけないんですが
これがなかなか理解してもらえなくて大変なのです。
各ダムでそれぞれ流出予測システムのデータを基に
周辺の河川、ダムの放流情報をやり取りして
放流量を決めています。

CCTVカメラモニター

ゲート操作時には必ず目視しながら操作することになっています。
CCTVカメラでゲートやバルブをズームしてきちんと指示通りの動作をしているか
確認しながら操作をするために各所にカメラが設置してあります。
◆ ◆

洪水時に関わらず
放流の操作ってどんな風に行われるんだろうというのは
マニアならとっても知りたい事のひとつ。

という事で
他のダムで見せて頂いたアウトラインから考える
ゲート操作時イメージ♪

ゲート放流を開始する前にデータをすべてチェックします。

ゲート操作卓で操作をしようとすると
まず、『目標放流量を設定して下さい』 ← 合成音声っぽくイメージするとかっこよさ倍増。
と女性の声でガイダンスが流れます。

そして管理所の方がゲート操作キーを設定します。

「目標開度○○cm」
「目標開度○○cm」 ← どこの職場でもダブルチェックはもう当たり前♪
(ちなみにバルブは目標開度○○%というそうです)

監視モニターでゲートを監視しながら
「放流開始」
「放流開始」

ピッ ピッ ピッ ピッ とゲート稼働中は音が鳴ります。

ゲートには、安全装置として機器トラブルがあっても
いきなり大放流をしないように工夫がされています。

室生ダムの場合は120秒経過すると一度止まるようになっています。
そしていきなり、がばっとは開けられません。
ゲートの開く速度は15cm/minなのです。


ダムのクレスト放流は大迫力なので
ほんの少ししか開いていないのに
物凄いインパクトがあって
大放流をしているみたいに見えてしまうんです。

でも何重にも安全装置が働いていてゲートって
思っているよりよりゆっくりしか開かないのですよ。

そういう方には是非「ザ・ダム 放流」を見て頂きたい。
勉強になるはず。

◆ ◆


そしてこれがコントロールロームで目立っているホットライン。
受話器をあげればそのまま木津川ダム総合管理所に直通。


木津川総合管理所のコントロールルームに在るホットライン。
左から高山、青蓮寺、室生、布目、比奈知、関西支社、淀川ダム統合管理所。

2009年の秋、このホットラインが途切れることなく使われ
大騒動になった事がありました。

2009年10月7〜8日
台風18号襲来
日付変更線が変わる前にすでに名張川の水位はかなり上がっていました。
でも予想雨量はからはまず通常操作で乗り切れる範囲内との結果が出ていました。
しかしその後急激に変化した降雨で名張市街に浸水の危機が!!
その時、青蓮寺ダム、室生ダム、比奈知ダムは本来なら流入量にすり合わせる形で
放流量を増加させるはずなのに、放流を絞って下流の浸水を防ごうと動きました。
しかしその後、立て続けに緊急事態。
青蓮寺ダムの流入予測が物凄い事になったのです。
このまま放流を絞って耐えていたらサーチャージ越えする!!
という青蓮寺からの連絡を受けた木津川ダム総合管理所は
更に上位機関である淀川ダム統合管理所と相談して
凄い事をやってのけたのです。
室生ダムと比奈知ダムの放流をさらに絞ってその分を青蓮寺に放流させることで
名張川の水位を上げずに洪水調節を行うという離れ業!!
これが見事に働いて名張市街は浸水を避ける事ができました。
名張市長から表彰されたんですよ♪
洪水調節を行うダムの本懐ですね♪
詳しくは水資源機構関西支社のページをご覧ください♪
◆ ◆

管理所で色々説明を受けた後、葉が落ちている時期なら
下流からのビューを狙えるかもといつもの撮影ポイントへ。


やはり茂っています。
これは夏でも冬でも同じらしい。


更に下流からもやっぱり茂っていました。

ビューポイントに恵まれない室生ダム。
森湖等のイベント時に下流に入れてもらえるのを狙った方が手堅いですね。

上流のラバーダムや桜ポイントなど
素敵な情報を耳にしたのでまたふらっと見に行きたいと思います。

真っ赤なクレストゲートで日々頑張る室生ダム見学でした。

 



おまけ


これは室生ダムが1門クレスト放流していた同じ日に見に行った高山ダム

オリフィスからの放流頻度が高い高山ダムで
ホロージェットバルブからの放流は少ないらしく
むしろ珍しいと言われました。

でも私、いつもホロージェットの時ばかり見ているんですが。
オリフィスからの放流を見たいです。