室牧ダム 見学 その3


アーチダムの堤体がどこまでか
スラストブロックはどこからか
俯瞰で見るとこんなにわかりやすい♪


がっしりどっしりスラストブロックの存在感半端ない♪

「多目的ダムの建設」のスラストブロックの説明では以下のように書かれています。

 スラストブロック

上部標高で谷が開いている場合や、上部標高の風化が厚く深部でしか堅岩が得られない場合、
地形や堅岩線なりにアーチダムを設計すると、その形状が著しく凸凹になるか、又は著しく非対称になることが多い。
この場合、ダム本体と切り離したスラストブロックを設け、これをダム本体と基礎岩盤との間に介在させ、
ダム本体からのアーチスラストを基礎岩盤へ伝達せしめる方法が用いられる。
スラストブロックの形状を適当に選ぶことによって、ダム本体の形状は
地形又は地質状の局部的な欠陥に左右されることなく決める事が出来る。

アーチダムは3次元で動く巨大コンクリート構造物です。
左右バランスの悪い変な形に設計するとどこかにとんでもない無理がかかるものです。
だから美しいアーチ作用を本体に持たせるために必要であればこのようにスラストブロックが設けられます。

 
スラストブロックを設けているアーチダムはいくつかありますが
自分が見たことがあるのは青蓮寺ダム(左岸)刀利ダム(左岸)など。

両岸のいずれかに重力アバットメントを設けてその上を洪水吐(余水吐)にして
スペースに無駄のないデザインになっているダムもあります
水殿ダム(右岸)とか矢木沢(右岸)が有名。

 
ウイングダムを持っているのは大迫ダム(右岸)黒部ダム(関電)両岸上部。

 
サドルを設けて完璧に左右対称にしている例としては川俣ダムがあるそうです。


なのでアーチダムとしての端っこはスラストブロックの上ではなく
ここからなんですよと教えてくれる天端の親柱。
室牧ダムの名前が入っています。


ダム湖側にある親柱には…


「富山県 昭和36年5月竣功」の文字。
なんか誇らしげ♪


木々が茂っているからだけではない
多分、冬に来たって見えないだろうと思わせるところに
コンジットゲートのゲートハウスがちらっと見えています。


放流したらどんな感じなんだろうな〜と思って
頂いたパンフレットをみたら写真がありました。
豪快に左右からのクロス放流でしかも減勢工の上で水流をぶつけて減勢させる方法らしい。
実物見てみたいなとよだれが出そう。


道路から堤体の足元や減勢工までは見えませんが
アーチっぷりの素晴らしさと色々勉強できるものが見られる素敵な室牧ダムです。

中々行く道が狭いし険しいかもしれませんが富山方面にお越しになったら
愛でに来てほしい室牧ダム見学でした。