三瀬谷ダム 見学 その4


ゲート支柱には立派なダム銘が入っていました。
昭和42年にできたダムです。


堤体の右岸にやってきました。
水位はそんなに高くないようなのですが水面はとても近く感じられました。


右岸にやってきたのでとりあえずダムのパンフレットを頂くために管理事務所へ。

玄関に入ってすぐのカウンターで可愛いおねえさんに
にっこり笑ってパンフレットをお願いしました。

しばし待つ。

「すいません。丁度、新しいパンフレットを発注しているところで少し数値が違うんですが
今、お渡しできるのがこれしかないんです」

と、若い職員さんがおねえさんと一緒にパンフレットを持ってきてくださいました。

「ありがとうございまーす。今、堤体見てきたんですが2004年の被害の跡とかあまり見えませんでしたね」

三瀬谷ダムは2004年の台風21号で発電所に甚大な被害を受けたダムです。
被災直後の痛々しい姿をニュースの写真などで見ていました。

「ダムとゲートは特に損傷はなかったのですか?大変な事になったと伺っていたのですが」
「はい。被害を受けたのは事務所と発電所が一緒に入っていた建物の方でダムには傷はなかったんですよ」
「堤体越流したのですか?」
「はい。ダムの右岸の道路の方から水がきまして・・。一緒に土石流が事務所に流れ込んできて
ダムのゲート制御の機器がやられてしまったんです」
「土石流っ…ですか。その時クレストはどのくらい開けていたんですか」
「このダムは(洪水調節機能のない)発電ダムですから入った分は出すわけです。全開にしていたんですが」
「こちらのゲート全開でどのくらい吐けるんですか」
「4650t/sですね」
「その時一体どのくらい流入あったのですか」
「計器が全部やられていたので推定なんですが・・・6000t/s」
「6000…! それで堤体越流してしまったんですね」


建物のダム湖側の広いコントロールルームの壁にあった操作盤。
放水路という表記ですね。

「ダムの見学されますか?」
「いいんですか?お昼ごはんの時間ですが」
「いいですよ」

と、突然押し掛けたのに見学させていただける事になりました。
君ヶ野ダムでもそうでしたが三重県のダムの皆様、凄く親切。
ダムマニアに優しい。


管理事務所からダム側に降りて行きます。
ガードレールで仕切られた道路がありました。

「以前はここにも車を止めていたんですが流されてしまったんです」


と、近づくとごっそり地面が削り取られていました!

「わー!!」
「今まで経験した事のない出水でしたね」

2004年は日本全国に災害が続発した年です。
過去最多の10個の台風が上陸し
7月には新潟・福島豪雨や福井豪雨があり
10月には新潟県中越地震がありました。

三瀬谷ダムを襲った出水。
それは台風21号と秋雨前線がもたらした大量降雨によるものでした。
2004年台風21号は高知県→徳島県→紀伊半島→福井→石川→新潟→山形→岩手
というコースをたどった台風でした。

三重県の尾鷲市では最大時間雨量133mm
降り始めからの総雨量は876mmにも達しました。