皆瀬ダム 見学 その1

2025/3/11 更新

秋田県で必ず行きたいと思っていたのが
物部長穂記念館と、ここ、皆瀬ダムです。


無事に到着しました。
うきうきわくわくが止まらない♪


説明板をまずしっかり読みます。
皆瀬ダムのお仕事はFNAPです。


皆瀬ダムは表面遮水壁型ロックフィルダムです。
竣工時はコンクリート表面遮水でした。

国内で造られて確認されているコンクリート表面遮水ロックフィルダム(CFRD)は
多くありません。(仮締切などは除く)

岐阜県 小渕防災溜池 1952年
岩手県 石淵ダム 1953年 (現在は胆沢ダム貯水池内)  
野反 群馬県 1956年 
秋田県 皆瀬 1963年
岩手県 荒沢1号 1972年
岡山県 苫田鞍部 2004年

そしてここに加わるのが栃木県の南摩ダムです。

CFRDは長い間、国内での建設がなかったダム型式です。
表面遮水のロックフィルでは専らアスファルトを用いる
アスファルト表面遮水ロックフィルダム(AFRD)が選ばれてきました。

現在のような堤体材料の締固め技術が確立されていなかった時代のCFRDは
諸外国でも報告されていましたが、どうしても要になる遮水壁にクラックが入りやすい
という問題点が指摘されていたのです。

日本は地震が多いため、CFRDは好ましくない
と当時のダム技術者の偉い先生方が指針を出したことにより
日本では地震に強いゾーン遮水のフィルダムが主流になったのです。
とてもコスト高になりますが安全には代えられません。

国内のCFRD建設を再開できたのは苫田鞍部ダムからになります。
ゾーン遮水のフィルダムの技術を使って地震に強い表面遮水のダムを完成させたのです。

この技術で建設され試験湛水をしているのが南摩ダムなので
諸外国のお安いCFRDとは別物です。


皆瀬ダムの平面図です。
洪水吐は左岸の地山に乗っていると思われますので
かなりコンパクトな堤体だという事がこの図からも伝わってきます。


洪水吐にはクレストに2門、オリフィスに1門のローラーゲートです。


放流時写真もあります。
中々ダイナミックですね。
融雪放流の写真でしょうか。


堤体周辺はパーキングも散策路も整備されていてとても綺麗です。


まず管理所に行こうと坂を上っていますが堤体がチラ見えすると
もう気になって仕方がない。


めっちゃ急勾配♪
さすが初期のCFRDらしいお姿♪


管理所周辺は出水期が終わったばかりだったせいか
なんとなく忙しそうな空気が漂っていました。


いくつかあった工事お知らせ看板のうちの一つです。
ダムの環境整備とは。
草刈りとか管理道路の邪魔になる灌木の伐採とかでしょうか。


管理所玄関でインターホンを押してダムカードを頂きました。

その時に7月末の大雨の際の皆瀬ダムのハイドログラフについて
お聞きしたところ、特に難しいことはしていなくて
工事のために水位を低めにしていたので綺麗なハイドロになったとのことでした。


皆瀬は過去のハイドロで色々なパターンがありすぎだったので
何か不思議なことをしているような気がしていたのですが考えすぎでした。
単純にこういう降雨の山が来ていたという事。

一番最初のピークの時にゲートを開けていって
その後は定開度操作ですね。


ダムカードも確保したのでウキウキ堤体に移動します。


工事の関係で水位が低いのが堤体を愛でるためにとてもありがたい。
お水が少なめなのはいつも心配になる方が勝ったりしますが
皆瀬は別。


このコンクリート遮水壁が痛んでアスファルトで再被覆しているのが
ばっちり見られるなんてラッキーとしか言いようがない。


たくさんある工事お知らせ看板の一部。
水位を下げてたくさんの工事が行われるようです。

年度内いっぱいかけての工事。
でも豪雪地帯だと思うので積雪がすごい事になったら工事止まりそう。