真立ダム 見学 その1

2007/5/30 更新

国内で6基だけしかないバットレスダム。

北海道の笹流
群馬県の丸沼
岡山県の恩原
鳥取県の三滝
富山県には真川と真立の2基があります。

真川・真立はアクセスが容易でないという事で
その姿は謎に包まれていました。

いずれも徒歩でしかたどり着けないのです。

2005年に真川・真立を見に行こうと計画したことがありましたが現地で通行止に阻まれました。

2004年10月23日におきた新潟県・中越地震でここ、富山県でも被害が出ていたのです。
真立ダムは有峰林道・小口川線から何とかアクセスできるらしいという情報を得ていたのですが
現地で180mにわたって道路が無くなっているから無理だと聞かされ断念した経緯があります。

その時に現場で
「もっと生活に重要な道路から復旧が進められるから後2,3年は無理と思っておいた方がいい」
といわれ、しょげて引き返しました。


2007年になって状況を調べるべく現地にやってきました。
やっぱり2年前に言われたとおりまだ復旧していませんでした。
追い打ちをかけるように2007年になって
石川県で能登半島地震が起きました。

さらに復旧が遅れるだけならまだしも
別の場所まで崩壊していたらどうしようかと
心配になってきてしまったのです。

車ではいけないけれど道路状況を見ておきたいし行ってみよう
と、富山までやってきました。


折角、聖地・富山の有峰林道に来ているのですから
真立ダムに水を送っている祐延ダムも見ておかなくてはいけません。

有峰林道をぐるっと回ってまず祐延ダムに向かいます。
こちらも通行止めになっていました。


祐延ダムの天端標高は約1400m。
真立ダムの天端標高は約750m。
その差、約650m。

祐延ダムが見えてきました。


祐延ダムと真立ダムはダム史に残る堤体です。
水力発電史に残る堤体であると言った方が良いかもしれません。

現在は揚水発電をしていませんが完成してから3年目に揚水発電を始めました。
昭和9年〜43年にかけ揚水でも頑張っていました。

日本で二番目に稼働した揚水発電施設(国内初の揚水発電施設とわずか一ヶ月差!)として
また、その高落差、621.20mは一般水力では現在でも堂々の一位。
揚水式と合わせても現在国内3位。

素晴らしいです。


天端は立ち入り禁止なのでフェンスから撮影。
この地味なような何とも言えない手すりの塗装。
北陸電力のダムのゲートに多いカラーリングです。

カラーリングバリエーションは福井の仏原ダムが一番いいでしょうか。
北電カラー。


祐延ダム右岸にはダム湖にばしゃばしゃお水が入る吐口がありました。

2008年8月に有峰ダムの堤体内見学に行った折
北陸電力常願寺電力部の方にお聞きしたところ
下流側の北谷というところから引水している分ですよと教えていただきました。


祐延ダムを示す標識。
地味です。
もっとアピールしてほしい。
あ、読み仮名も。


説明板です。
たいへんシンプルですが堤体自体、シンプルなのでこれ以上描け無いのも事実かなと。
地盤のガタガタがちゃんと描いてあるあたりに北陸電力さんのまじめさが表れているなと思います。


下流側から見たところです。


クレスト部のアップ。
いい色ですね。
凄く働いている感じがするなと思っていたのですが
こちらも常願寺電力部の方にお聞きしたところ
実はここまで水位が達しないように調節しているので
実際は全然働いていない洪水吐なのだそうです。

この色は素直に凍害で痛めつけられて生じた色なのだそうです。

祐延ダムは昭和40年代に管理所が非常駐化され
同時にクレストゲート全開という操作になり
水位はゲートに達しないようコントロールされることになったということでした。

なるほどな〜。