小匠ダム 見学 その1

2009/4/29 更新

2009年が始まって間もない冬の日に
突然ですが奈良市内で
“ダムを1000基見た男”こと、Dam's roomの管理人、ふかちゃん様とお会いしました。

お仕事で関西に来られていたという事で
折角だからご飯でも〜、と無理をいいましてご飯を食べながらダム話。

「今日はどこ回ってこられたんですか〜」
「和歌山のこのあたり」
「おーー。かなりきつかったでしょ」
「遠かったよー」
「で、どうでした〜」
「はい」

と、手渡されたふかちゃん様のカメラの液晶画面を見るとそこに映っていたのは

「うわわわわ!! こ、小匠や」
「凄い面白いダムだったよ〜」
「何この構造…」
「うん。なんかゲートが凄い不思議な感じだった」
「これ、バキですよね」
「気になるのがこの穴」
「・・・・なんやろ?」
「ここ、スルーしてるからさー」
「オリフィスやったらこれ空気抜きの穴ですよね」
「でも小さいでしょ」
「うーん・・・」
「あと、ここね・・」
「ここは常時開でしょ。非常用かな」
「見に行きたくなったでしょ」
「絶対見に行くます」
「立入禁止あるよ」
「所有している和歌山県に許可貰って見るます。許可貰えるまでごろごろ転がって駄々こねる」
「(笑)やる気満々だねー」
「だって前からずっと気になってた小匠ですもん!!」

と、写真を見せて頂くなり大興奮状態に陥ったダム。

それが和歌山県が50年前に築堤した防災ダム、小匠ダムです。


実際には許可をもらうために県の建物の床でごろごろ転がって駄々をこねたりする必要は当然なく
ダム愛好家であるということと、安全に十分留意した上で現地に赴きますと伝えることで
堤体を見学する許可をいただきました。

奈良から和歌山の端というと地図ではホントにまっすぐ南下するだけなのですが
一般国道だけなので時間はそれなりにかかります

最近、素晴らしく整備されて走りやすくなったR169で一気に海まででて
そこから海沿いに紀伊半島の先っぽ近くまで移動。

太田川の河口に出たら右岸をひたすら上流へ。
目指すは太田川の支川、小匠川。


ということで到着しました。am5:15。
早すぎますって。

どこがパーキングだとかはっきりした表記はないのですが
とりあえず路肩に車を寄せて停めます。
緑の芝生部分を車で踏んでトレッドパターンを刻むのが申し訳ないので。

車から降りると周囲には水の音が聞こえるだけ。
川の水音が中々大きく聞こえていました。
前日にかなりの降雨があったためかと思われます。


舗装された1車線幅の道路を進むと目の前に小匠ダムが現れました。
一番下の放流管からかなり勢いよく水が流れています。


これが堤体中央で目立っているゲート。
変わった構造です。

ローラーゲート2門の上にある空間。
ローラーゲートの扉体がかなり低い位置にあること
上の空間と扉体の間にコンクリートの壁がある

一体どういう操作をするのでしょうか。

とにかく昔から気になっていた小匠ダム。
マニアの中でも小匠と言えば変わったダムとして名が知られています。


その一番の理由がこの堤体に開いている隧道(トンネル)です。

小匠ダムは堤体に隧道が通っているダムなのです。


なんで堤体に隧道で道路が通っているのかといわれると
道が必要だったからではないでしょうか
としか言えないんですが。

上流に至る道は貯水ダムで常時、ダム湖が水没する場合には
ダムサイトから天端のレベル以上で水没しない高さで
つけ替えなくてはなりません。

しかし小匠ダムは普段は水をためずにスルーして
洪水時に働く防災ダム。

洪水時には水没するとはいえ、普段はここに水は来ないのです。

なので別に天端の高さ以上で道路をつける必要はなく
川を理由する地元の方に至便である適度な高さで安全な道をつけることにしたら
この高さになったということなのではと勝手に予想。