北又ダム 見学 その5


ゲートが少しだけ開いてさらさら放流中です。

北又ダムは維持放流発電所を造る工事の最中でした。
本来ならバルブから吐く分を工事中の為、ゲートで代わりに行っています。

北又ダムがあるのは黒部川水系の支川、黒薙川です。
でもこのダムに貯められた水は隣の小川にある
朝日小川第一発電所に送られています。


鋼鉄製のレールが敷きつめられています。
鋼鉄の部分は洪水吐路ではなく排砂路です。

黒部川水系でも黒薙川は土砂が多く流出する支川です。
古いダムならともかく北又ダムは新しいダムですから
上流部でも排砂ゲートを備えています。


こちらは洪水吐ゲート。

「よく見て頂けたら分かると思いますがゲートが二段になっているんですよ」
「二段?扉体2枚なんですか」
「豪雪地帯ですから冬場は無人管理とするため、上部のゲートを引き揚げておき
下部のゲートの上を水が流れて越えていけるようにしています。」

遠目には一枚物の扉体ですが
よく見ると造りが違う二枚が上下に並んでいます。


この角度だと見えにくいですがこれが排砂ゲート。
左右両側にひとつずつあります。


よく見える場所に移動です。
落っこちないように手すりをしっかり持って堤体下流にかかる吊り橋へ。
登山の方が川に入ってダム直下に行かないように注意書きもありました。


吊り橋怖くない。
むしろ好きなのでるんるん渡ってかなり真向きに近いポイントへ。


綺麗な水だなぁと足下の川をていてふと気になったのは床固めのコンクリートの上を走る水の模様。

「むむ。削られてますね」
「はい。減ってますね」
「黒部の砂凄いですね」
「普通のコンクリートだとこうなりますね」


普通のコンクリートであれば砂でこんな風にになってしまいます。

北又ダムが竣工したのは1986年(昭和61年)
28年前です。
まだ若いダムなのです。

こんなに砂が出るなんて
堤体大丈夫なのかなと心配になります。
排砂ゲートもあるし。

バトルダメージで痛々しい姿になった手取川の初代・尾口第一ダムを思い出します。
尾口第一ダムは大手術で元気に働ける身体を取り戻しました。

「堤体は大丈夫なんですか」
「はい。コンクリートが全然違いますので」
「硬いコンクリート?」
「高強度コンクリートという物を使用しています。
竣工してから30年近くたちましたが補修は一回もしていないんですよ。」
「凄い!黒部川のダムでそれは凄い!!」
「これだけ山奥ですから補修や工事も大変ですし
出来るだけ頑丈にメンテナンスが容易になるように作っています」

高強度コンクリートなんてできてるんだ!!
コンクリートの進化凄いな。
という事は・・・
もしかしたら大手術で元気な身体になった尾口第一も高強度コンクリートなのかな♪

と、今まで見学してきた砂に痛めつけられたダム達を思い出す。


吊り橋から戻ってゲートをくぐり堤体にお近づきに。
工事中なので工事の方のお邪魔にならないように気を付けて移動です。


堤体右岸に新しく設置されている北又ダム発電所です。

堤体の落差を利用しての発電所増設は北陸電力様お得意です。
小俣ダム発電所とかもそう。