毛馬排水機場 見学 その2
しかし、看板が二つ付いています。
排水機場は国土交通省の管理している建物です。
しかし、排水機場の運転・操作は大阪府に委託しているという事で
西大阪治水事務所の看板もあがっているのです。
西大阪治水事務所というと安治川・木津川・尻無川のバイザゲート軍団を
操作・管理しているところです。
玄関で靴を脱いでスリッパに履き替え
3階に上がります。
今日は見学予約をしている事と、以前入れていただいた事があるので
ドキドキはありませんでした。
でも3階まで階段で上がって廊下の窓から排水ポンプが見えたりすると
ドキドキでなくワクワクしてしまいます。
暗い空間に差し込む光
その光に無骨な機械が照らされている
こういうのに滅法弱い。
3階のフロア見取り図。
横に長ーーいのです。
ずーーっと進んで大阪府の部屋を過ぎて
国土交通省の部屋に到着。
「おはようございます。本日、排水機場の見学をお願いしていますダム愛好家の夜雀と申します」
と、ご挨拶したところ、ちょうど担当の方がお戻りになり
すぐに説明を頂けることになりました。
隣の会議室にてまずこのエリアにある施設の概要の説明を受けました。
淀川大堰
毛馬排水機場
毛馬閘門+毛馬水門
一津屋樋門は現在地から7km近く離れている対岸なので今回は見に行っていません。
「以前一度飛び込みで見学させていただいているんですが」
「はい」
「全然勉強していないで見せていただいたので閘門の運転操作以外、色々な点で
中途半端に理解しているという最も性質の悪い見学者で終わってしまいまして
ずっと心残りでちゃんと予習してもう一度見せていただこうとお願いしました」
「ありがとうございます。ではまずこれをどうぞ」
と、いう事でパンフレット頂きました。
非常にわかりやすいパンフレットです。
「以前来た時も玄関で疑問だったのですがここには大阪府と国とふたつの事務所が入っているんですね」
「はい。この施設、建屋は国のものですが管理・運転は大阪府さんに管理委託しています」
毛馬排水機場の情報を出しているHPは
国の淀川河川事務所と
大阪府の西淀川治水事務所
と、ふたつあります。
毛馬排水機場の見学は国土交通省 淀川河川事務所 毛馬出張所に
電話でご相談される事をお勧めします。
なんでって・・まぁ、なんといっても施設自体が国の物ですし
国土交通省の皆様にはダムでいつもお世話になっていて
対応がすごく良くて親切でいっぱい勉強させてもらえるのを肌で感じているからですが。
「まず排水機場の役割についてですが、高潮の時に大阪市内の河川の水位上昇を防ぐために
防潮水門とペアで動くというものですね」
「はい。でも高潮だけではなく洪水時にも稼働します」
「!!洪水時にもポンプ稼働するのですか」
「はい。排水機場の役目は“大川”の水位を正常に保つという事で考えていただけたらよいかと思います」
「バイザゲートが活躍する高潮だけでなく上流の降雨に対しても働くんですね〜♪」
「近年、稼働回数が増えています」
「台風とかゲリラ豪雨とかですか」
「はい。平成16年は凄かったですね。10回くらい操作がありました」
「2004年の台風23号の・・・北近畿水害のあった年ですね」
「あの年は防潮水門も3門閉じまして排水機場のポンプも6台稼働という事もありました」
「フルパワーで洪水防御されたんですね」
なんとなんと
毛馬排水機場はダムと同じく降雨に対する洪水防御もお仕事に入っていたのです。
バイザゲート軍団から入った自分はついつい高潮対策にばかり目が行っていたのですが
大阪市内の河川の要・大川の水位を正常に保つという事は高潮だけでは無いわけです。
「都市河川はゲリラ豪雨なんかでの水位上昇もものすごい速さでしょうし
ここってコントロール難しいんでしょうね」
「はい。国土交通省でもここには専門官を置いています。堰管理専門官といいます」
「おぉすごい!!」
「でも最近よく起きるゲリラ豪雨でポンプを稼働したという事はありません。
そういう時はまず毛馬水門からの取水を止めます」
「??」
「減水操作と言いまして、大川には河川流量維持の為に通常70t/sの水を淀川から取水しています。
これを止めて淀川大堰の方で下流に流すように振り替えます」
「70t/s止めたら大川に入ってくる水は・・どっと下がるんですね」
「はい。70t/sってかなりの量ですからこれで対応できることが殆どです」
「なるほど〜。それでピークの短い降雨には水門を閉じるだけでよいわけですね」
「勿論それでも大川の水位が危険になればポンプを稼働することもできます」
「何重にも対策が取られているのが良いですね♪」
大阪市内の河川の要、大川は大まかに言うと淀川系と寝屋川系の流入があります。
毛馬水門からの流入をストップすれば流入は寝屋川系だけになります。
大阪市内の細かい河川はすべて大川の水で水位が決まりますので
毛馬水門で大川をコントロールするわけです。
そして海側から流入する危険がある高潮の時はバイザゲート軍団が食い止めます。
そして上流側からも水が来て高潮も来るという時に排水機場がポンプで内水排除を行うのです。
毛馬水門+バイザゲート軍団+毛馬排水機場(淀川大堰もお手伝いするよ)の
連携操作は大阪市内の河川水位を正常に保つことなのです。
カッコいいなぁ♪