川井堰堤と知和堰堤 見学 その3


次に知和堰堤に移動します。


知和堰堤が作り出しているのがこのウェットランドです。


まず堰堤を見ようと思ったのですが
萩が隆盛を極めて伸び放題。

何にも見えへん…


堰堤の位置を示す看板の先は草ぼうぼう。


上下流に移動して何とか見えるところを探します。
対岸の道路からもビューは悪そうなのでこれが限界。


ちらり。

知和堰堤は川井堰堤とは違って普通の重力式ダムです。


パンフレットにある写真です。
出来立てほやほやの頃の写真ですね。
下流のピアが元々ここに橋が架かっていた事をおしえてくれています。


川井堰堤と知和堰堤の仕事について
灰塚ダムの天端から直下に移動できる監査廊のギャラリーや
パンフレットでしっかり紹介されています。

・ダム湖の上流の水を堰き止めて水面を高くし、ダム湖の岸辺が乾燥して
荒地にならないようにする役割をもっています。

いつも満水を維持してダム湖岸に裸地が発生しにくい利水専用ダムと違って
洪水調節を仕事に持つ多目的ダムでは洪水期に水位を下げますので
どうしても貯水池上流端に水没しない湖底が出てしまいます。

そこに雑草が生い茂り、荒廃地になってしまうので
年中、水面を高く維持することで荒廃地になることを防ぐことができます。

・雨が降った後に上流から流れ込んでくる濁った水を一時的に堰き止めることで
濁りのもととなる泥などを沈めて、ハイヅカ湖の濁りがひどくならないようにする
役割があります。

これが貯砂ダムとしての働きです。
ダム湖の長寿命化のためにもとても大切な仕事です。

・知和堰堤では、堰上げた部分の沿岸ににウェットランドを整備して
水鳥などが生息できる環境を作り出しています。

ウェットランドという聞きなれない言葉については別途説明がありました。


知和堰堤の上流、知和地区は灰塚ダムが造られる前には
水田が広がっていたそうです。

耕作をやめた水田があっという間に雑草が繁茂して荒廃地になってしまうのは
各地で見られる風景でご覧になったことのある人も多いと思います。
ブタクサやセイタカアワダチソウなど喘息の原因になる繁殖力の強い雑草が
生い茂るのは好ましくありません。

水深の浅い湿地を作り出すことで、元々あった水田と同じような環境を作り出すことができます。
これがウェットランドです。

堰堤で堰上げられた水面には水鳥がたくさんやってくることができます。

そして湿地にヨシやマコモを植えました。
これらのイネ科の植物は水質悪化の原因になるリンや窒素を
吸収して水質浄化を担ってくれます。


沼沢地、湿地の風景が好きです。

川霧が出る時に沼沢地に立っていたら
霧の中から妖精が出てきそうですね。

とても幻想的な写真が撮れそうだなと思います。

灰塚ダムが竣工したのは平成19年(2007年)です。

10年以上前に今のダム界のトレンドになろうとしている
常時満水位より低い位置に設けたゲート放流設備
貯水池上流端の環境保全を目的とする貯砂ダムの整備
を備えて竣工したのです。

先進的な取り組みで創り出された水辺空間。

洪水調節から貯水池環境まで
非の打ちどころのない灰塚ダムです。

あ、知和堰堤が草ぼうぼうで見えにくくなっている事だけ
マイナス点(笑)つけておきます。

主堤体だけでなく貯水池の隅々まで見てほしい灰塚ダムの
川井堰堤と知和堰堤のレポートでした。