兼山ダム見学 その2
管理所まではずっと遠いのですがフェンスに張り付いて写真を撮ります。
監視カメラがこちらを向いていたのでぺこりと頭を下げておきました。
フェンスに張り付いて堤体を眺めつつ写真を撮ります。
土木遺産だもんねー。
あの認定プレートは何処に貼り付けてあるんだろ?
資料欲しいなぁ。誰か来ないかなぁ。
ふと顔を上げると管理所から軽トラックが一台こちらに向かってきます。
職員の方かなぁ?
関電カラーの車両じゃないなぁ。普通の白い軽トラックだなぁ。
帽子も被っておられないし出入りの業者さんかなぁ。
軽トラックは私の横に止まりました。
にこやかなおじさんが窓を開けました。
「おはようございますー。写真撮らせて頂いてましたー。」
「ゲート、☆♪※■ですか?」
(うぉ。久々に方言が全く解らん)
「ゲートですか?開いてました。」「☆♯△♪、テロ対策で○※■$、厳しいから」
(げげっ、本気で解らん)
「あ、そうですね。最近は厳しいのにゲートが開いていたので
ついダムを近くで見たくて入ってきちゃいましたー。すみません。」「私、これで送っていくから早く写真、撮ってきてください」
(お、なんと優しい。でも、送っていくって 何処まで? 警察!?)
「ありがとうございます。すぐ撮ってきます♪」
どうやら監視カメラに礼をしたのを管理所の方が見ていて表に出て来られたようでした。
カメラにでも礼をしておく物だなぁ。
しかし管理所が遠かった、敷地が広かったので
注意をする為にもわざわざ軽トラックを運転してこられたのが凄くおかしかったです。
右岸にインクラインの跡らしきものがあります。
しかしトロッコレールの跡といわれればそのようにも見えます。
黒部第四ダムでもこういうものがダム湖側右岸にありました。
建設当初の物でしょうか。
堤体右岸にある発電所から出てくる水がここから下流に出てきているようです。
左岸から見れば放水口が見えるでしょう。
そしてこれはインクラインの横の管理階段跡かなと思えるもの。
「すみません。カッコ良い堤体、撮らせて頂きました〜」
「お一人?どちらから?」
「富山からの帰りです。奈良から来ました。」
「ダムを見に?」
「はい♪」
「ダムを見に♯△♪たんなら八百津の丸山ダムに行ってみなさい」
「丸山はいいですねっ♪大好きです♪」
「はっはっは。良くご存知だね」
敷地入り口のゲートまで軽トラックで送ってくださいました。
警察に連れて行かれなくて良かった。
そしてすぐにゲートを閉めて戻っていかれました。
やっぱり開いてちゃまずかったんだな...。
誰か閉め忘れたところだったわけかー。
丁度そんな時に良く出くわしたなぁ。
兼山ダムは関西電力の発電ダムで在ると同時に
木曽川に造られたとても重要な堤体です。
この堤体の左岸のすぐ上に愛知用水の取水口があるのです。
現在は水資源機構の管理している愛知用水取水口。
大きな河川が無い為に水不足がずっと続いていた知多半島。
そこが今はとても豊かな農作物の産地になっている事。
豊富な木曽川の水を知多半島へ。
木曽川の上流に建設された牧尾ダム(1961年竣工)。
13年に及ぶ難工事の末に愛知用水は完成しました。
NHKのプロジェクトXでも取り上げられた大プロジェクトです。
ここ、兼山ダムのすぐ上にある取水口からの水は、岐阜県を経由して愛知県に入り
知多半島の先端まで約112kmの幹線水路と約1,000kmに及ぶ支線に供給されているのです。
知多半島の命の水の出発点
それがあるのがこの兼山ダムです。
その後、阿木川ダム(1990年竣工)や味噌川ダム(1996年竣工)ができました。
しかし、兼山ダムと牧尾ダム無しに愛知用水は語れないのです。
資料は手に入りませんでしたが
偶然、管理所敷地内から見せていただけました。
土木遺産で発電で現役で戦時中に作られた堤体で
知多半島を支える水の重要な施設のある兼山ダム見学でした。