柿原水源地第二貯水池堰堤 見学 その5

袖天端から見た下流です。
川が曲がって見えなくなる辺りに丁度、洗い堰があります。

堤体は下流面が谷まで影になっている事や
水が抜かれて上流面がいつも陽ざしにさらされるていることもあるのか
上下流面で全く表情が違います。
下流面は苔コケ生しむし。
上流面はぱりっとさらっと乾いてます。
そして水通しには越流時の流塵が残っています。
◆ ◆
ここで更に上流にもうひとつ廃貯水池が在るという事だったので山道を登って行ったのですが・・・

道が流れて無くなって居る所とかありまして・・・
山にしがみつきながら渡りました。
滑ったらダム湖に転落です。
誰も助けてくれません。

更に進むと突然、鬱蒼とした灌木と蔓草に乗っ取られた橋とかありまして
西表島の炭鉱に向かう道を思い出したりしました。

この橋がまた物凄い迫力。
何でこの山にこんな立派なコンクリートアーチ橋が?
上流の水源地に行く為にこんな立派な橋が掛けられていたことに
宇和島市の水源地に懸ける期待の大きさを見た気がしました。
橋に銘が残っていなかったのが残念。名前が解りませんでした。
この先にはさらに葛篭折れの急勾配の山道が続いていたのですが
大概体力を使い尽くしていたので進むかどうか逡巡し
引き返しました。
◆ ◆
洗い堰に帰り着いたとき丁度、そこに車が止まり
ハンターの方が降りてこられました。
「こんにちはー」
「こんにちは。一人でこんな所でどうしたの!?」
「ダムが好きでダム見に来たんです〜」
「え・・この洗い堰?」
「いえ、この上の扶壁のついた砂防堰堤です。
これ、凄い貴重な形のダムですよね♪」
「えー。そうかなー。上の堰堤の方が石積みで綺麗で価値があると思うけど。
上の堰堤までいってきたの?」
「いえ、橋までで引き返してきました」
「ああ、橋まで行ったの。上の堰堤は橋から20〜30分くらい歩いた先にあるんだけどね」
「・・・そうだったんですか」
「あ、今からもう一回行くとか言わないでね」
「あ、はい。猟の邪魔になりますよね。」
ハンターの方は猪撃ちに来られていたのでした。
「上の堰堤は石積みでね。綺麗でそりゃあ、価値があるよ」
「うう、そんなことを仰ったら行きたくなりますぅ」
「また別の日に来られたら」
「中々ここまで来れないです」
「どこから?」
「奈良からです」
「!! 奈良からわざわざこの堰堤見るために来られたんですかっ」
「凄くカッコいいダムがあるって知人から教えてもらったんでどうしても見たくなって」
「そんなに価値があるかなぁ。上の堰堤ならともかく」
「いやいやいやいや。この扶壁付の堤体は絶〜対カッコいいです。
凄くカッコいいです。遺跡みたいでめちゃくちゃ綺麗です」
「・・・本当にダムが好きなんですね」
「ただ、とても変わったデザインなのでこのダムの詳しい情報とか
どこかで資料を見られないものかと思案しているんです。
来る前に県と市の方に電話でお聞きしたんですけど
古いものだし廃止されたものなので資料があまりないらしくて」
「ん?それだったらこの後、水道局に行ってこられたらいい」
「須賀川ダム直下の浄水場ですか」
「そうそう。同じ敷地に水道局の建物があるから」
「でも土曜日なので水道局の方おられないんじゃ・・」
「宿直の人に電話しておいてあげますよ」
「え・・」
「私、昔、水道局に勤めていたんです」
なんとなんと
現地で偶然出会ったハンターの方は宇和島水道局のOBだったいうこの偶然!!
「確か古い資料があったはずだからそれを見せてもらえるように電話してあげます。
だから上の堰堤は諦めて下さいね(笑)」
「はいぃぃ♪判りました。車に戻ってすぐ向かいます〜。ありがとうございますぅ♪」
という凄いラッキーに遭遇してこの後、須賀川ダム下流にある水道局に向かいました。
宿直の方が20数年前のパンフレットを用意してお待ちくださっていて
それをいただくことができました。
このパンフレットがなかったらこの堰堤・水源地データは全く分からなかったと思います。

柿原水源地第二貯水池堰堤
型式:砂防重力式コンクリートダム
堤高:15.0m
貯水量:90000立方メートル
昭和26年3月竣工 昭和50年廃止
柿原水源地は
洗い堰が大正15年と、最も早く築堤され
次いで第一貯水池堰堤が昭和6年に築堤されました。
この第二貯水池堰堤は正シ川で一番新しい堰堤となります。
何度も拡張された水源地計画。
万年渇水と言われたエリアに大切な大切なインフラとして整備されました。
須賀川ダムができた事で役目を終えましたが
水源地を理由した公園の端で今も堂々と立っているその姿は
形の美しさもさることながら、宇和島の人々にお水を届けていたという誇りに満ち溢れています。
小さくても
廃止されても
滲みだすそのオーラは半端ではありません。
往復950km日帰りという強行軍で向かった柿原水源地は
へろへろになりましたが素晴らしいものを愛でられた事と
地元の方の優しさに触れることができたとても嬉しい見学となりました。
OBのT様、宿直のM様、本当にありがとうございました♪