今渡ダム 公式見学 その1
2018/7/11 更新
関西電力様の今渡ダム管理所にやってまいりました。
マスコットキャラクターは“カメ電ねん”。
しっぽがプラグになってます。
春に木津川にある関西電力様の相楽発電所取水堰堤を見学させていただき
ダムと舟運について事例を調べたくなった時、真っ先に頭に浮かんだのが
2017年のwDN-Kisogawaの準備で木曽川に行った折に見た
中部電力様の川辺ダムと関西電力様の今渡ダムが装備していた舟筏路でした。
あれって、今はもう使われていないかもしれないけど
どういう使われ方をしていたのか見て勉強したいなぁ…。
と、またまた見たくて仕方ない状況になってしまい
ダム工学会の偉い先生に紹介状を書いてもらい
見学目的を申請してじっと待っていました。
ということで今回も無事に何とか見学申請が通りまして
どきどきですが管理所に伺いました。
こちらが管理所の表札になります。
直定規フォントが実に個性的ですね。
管理所前のスペースからフェンス越しに見える今渡ダム。
堤高34.3m、堤堤頂308.0m。
19門の洪水吐を備え、木曽川のダム群でしんがりを務める存在感抜群のダムです。
「ちょっ!うわ!かっこええええええ!」
今渡発電所への取水口前に設けられた
導流堤の曲線にいきなり萌え心に火をつけられる。
本日は今渡電力所の土木の専門家の方にご案内を頂いております。
手渡されたパンフレットの表紙はいきなり今渡ダムの空撮。
そして空撮で施設が全部写り切っていないところがまた凄い。
今渡ダム、でっかすぎ♪
今渡ダムの特徴は左右両岸にダム式で調整池式の発電所を備えていることです。
歴史ある今渡発電所は昭和14年竣工
新しい美濃川合発電所は平成7年竣工
最大使用水量は
今渡発電所で最大200t/s
美濃川合発電所で 220t/s
流石、木曽川本川のダムです♪
使用水量半端ないっ。
そして水車♪
大水量で低落差はプロペラ水車。これ基本。
小水量で高落差はペルトン水車。これも基本。
レンジが広くて汎用性が一番高いのがフランシス水車。
小水力発電などに適しているのかクロスフロー水車。
水力発電について勉強したいな〜と思ったら
ダムマイスター仲間でもあるHisa様の
水力ドットコムをご覧いただくのが一番いいかと思います。
今渡発電所はカプラン水車です。これはプロペラ水車の種類の一つ。
美濃川合発電所は横軸バルブ水車です。
詳しくは関西電力様の水車の種類のページをご覧ください。
更に笑ったのがこの図面。
長すぎて中央が省略されています。
取水口前の導流堤が今渡発電所と美濃川合発電所でかなり違います。
美濃川合発電所は平成生まれですからとってもコンパクト。
コンパクトでも今渡発電所より能力が大きいのです。
でも昔から頑張っている大きな建屋の発電所も魅力的♪
うふふ。
今渡ダムのお仕事の中で地味に重要なのが実はこれ。
今渡ダムが建設された当時、木曽川本流には大同電力の発電所があり
支流の飛騨川にも東邦電力の発電所がありました。
下流には水道、灌漑用水、木材運搬などの利水者がたくさんいらっしゃいました。
なので、水量が増えたり減ったりすると様々な影響が出ることになります。
そのため、ピーク流量をできるだけ平均化して均等放流する必要性が生まれ
今渡ダム&発電所が計画されたのです。
現在も下流の水位が一日を通じて変動がないように発電しています。
そもそも勾配の急な日本の河川にとっては
発電所の運転いかんに関わらず、天候で容易に枯れ川は出現します。
今はダムが安定供給してくれているから枯れない川が増えただけ。
階段を上がりました。
広い木曽川。
対岸が遠いです。
「こちらが今渡発電所へ取水口の制水門になります」
「関電ブラック♪」
「??」
「関電様のダムのゲートはみんな黒♪」
「はい。そうなんです」
「なので名付けてしまいました」
「・・・はい」
「他には中部電力様の中電レッドとかあります」
「中電様、赤が多いのですか」
「いや、さほど多くないですが天竜の泰阜・平岡のイメージが凄いんで」
興奮しすぎで最初からアホ満開で飛ばしまくり。
呆れられないように気をつけなくてはならないのに。
「ぎょどーっ!」
「はい。たくさん魚が遡上するんですよ」
「折り返し折り返しでいい魚道ですねっ」
今渡ダムパンフレットに詳しい説明がありました。
今見下ろしている魚道は階段式魚道です。
「ゲートがあるの見えますか?」
「はい。倒伏ゲート…かな」
「ここは国土交通省の施設になります」
「関電様のダムに国交省魚道?」
「元々弊社で作ったもので国交省に移管し
日常的な管理業務は我々が委託されて行っています」
「ややこし」
「右岸側はまたちょっと違うので見比べてください」
なんと発電用ダムに国交省部分があるとは。
「あの巻揚機カッコいいです」
「ワイヤーがカーブで方向変わるのとかカッコいいです」
「ワイヤー好きにはたまらないです」
と、魚道のゲート巻揚機とワイヤーにかなりはしゃいでしまいました。