池津川取水堰堤 見学 その3


来た道を引き返しています。
白い真新しいコンクリートが視界に入ってきました。


間伐材級の針葉樹だと思いますが
沢筋にも山肌にもこういった一本丸ごと倒れた木が散在しています。


とりあえず道路を確保する。
ライフラインを確保するという事で道路の外側に除けられた土砂です。


砂防堰堤で勢いを止めてもらってはいますが
満砂を超えた分は絶対にあふれてしまいます。
防護ネットも引き裂かれます。

その圧倒的な土砂の量、故にです。


場所は野迫川村と大塔町の境界付近です。


大塔町の端にあった赤谷キャンプ場の入口です。
この上で起きた斜面崩壊の土石流で被災しました。


床固工の上には水が流れていないので上流の
赤谷川の水が管路で届いているのかと思います。
とても綺麗な水です。


赤谷川と池津川の合流点です。

谷間にずっと奥まで床固工と砂防堰堤が築堤されて続いています。


でもまだ完成していません。
コンクリートミキサー車が奥へと進んでいきます。


ずっと奥では急勾配のワインディング工事路を走行できるように
首を振ることができるアーティキュレイトトラックが採用されていて
走っているのが見えました。


真新しい砂防堰堤は不透過型です。
ここで必要なのはこの奥で崩れた斜面の土砂を
可能な限りこの場所に留めることです。

不透過型砂防堰堤が満砂になり、扞止(かんし)効果を発揮することが必要です。
透過型ではその目的を果たすことはできません。


紀伊半島大水害による河道閉塞箇所の湛水池埋立てが一部完了しました
〜 砂防堰堤などの対策工事は引き続き推進 〜

令和3年の年度末の近畿地方整備局からのプレスリリースです。

残る塞止湖の埋め立ては長殿谷の物だけになったと書かれていました。
長殿地区の斜面崩壊は長殿谷で起きた物と関西電力長殿発電所のすぐ下流の
十津川左岸で起きた物の二か所がありますが塞止湖が発生しているのは
長殿谷の方です。


赤谷地区の湛水地を形成していた崩壊地は埋め立てが完了しました。

赤谷川の集水域の水は築堤中の3号砂防堰堤の上流側に設けられた
排水路工から現場をパスして池津川に届いているのかなと思って見ていました。
工事現場をドライにしなくてはなりませんので今、堰堤の上を水が流れるのは嫌。


一番奥にちらりと見えているのが1号砂防堰堤かと思われます。
手前に続いているのは床固工です

この奥に基幹堰堤2号砂防堰堤が完成していて
現在は3号砂防堰堤が築造中との事。

先ほどのコンクリートミキサー車とアーティキュレイトトラックは
その現場に向かっているのかと思います。


道路の横に設置された監視カメラは赤谷川をまっすぐにとらえています。

ここまで工事が進んだことで安心度は桁違いに上がっているはずですが
まだここは崩壊地との戦いの最前線です。

まだまだ対策工事は続きます。
土砂との戦いは本当に長くかかるものなのです。
土捨て場の確保も山間部では困難ですし
工事現場は険しく急峻で困難な作業が要求されるからです。

でも一歩ずつ進んでいるのです。

大水害から10年経って進んだ砂防工事と
大水害の後もしっかり務めを果たしている取水堰堤を
目にすることが出来た見学でした。