井川五郎ダム 見学 その1
2004/10/31 更新
中空重力式ダムは全国で13基しか無いとても珍しい形式のダムです。
コンクリートがぎっちり詰まっている堤体の中に空洞があるダムです。
コンクリートを節約できるために昭和30年代から造られ初めましたが
コンクリートの価格が下がった事や施工が複雑である事から現在は
造られなくなりました。
岐阜県にある国土交通省の横山ダムは中空重力式です。
昔、見学申し込みをした事がありましたが、
丁度その時に
エレベーター工事をしていて見学ができませんでした。
◆
ダム巡りをホームページで公開するようになってからもずっと気になっていた中空重力式。
静岡県の大井川上流に中部電力が3基持っていることが解りました。
井川五郎、畑薙第一、畑薙第二。
井川五郎ダムは国内初の中空重力式。
畑薙第一は国内で一番大きい中空重力式です。
いつか見てみたい中空重力式。
中は一体どんな空間なのかなぁぁ。
◆ ◆
そんな時、Webでダム写真家の方が井川五郎ダムの内部を公開しているのを見つけてしまいました。
絶対行きたい
絶対見たいよ!このダムを!.....中部電力に頼んでみよう。
そう決心した時に、同時にダム愛好家の方の中で
井川五郎ダムについて流れている噂を思い出しました。
『中部電力は一般の見学者に門戸を閉ざしている』
『見学許可が下りない』
一抹の不安はありましたが勇気をもって駄目で元々と中部電力に電話をしました。
◆ ◆ ◆
本当に運が良かったのでしょう。
丁度、井川五郎ダムで別の団体の見学が予定されている日があり
その日に現地に来てもらえるなら時間を取って見学を案内してあげられる
という夢のようなお返事が返ってきたのです。
あまりの嬉しさにその後、見学当日まで頭の中が中空に。
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しかし...
井川五郎の堤体内という極めて貴重な体験を独り占めしたら絶対バチがあたりそうだ
平日だけど行ける人いないかな?
と、何人かの方に連絡しましたが突然の話でとても無理ですというお返事ばかり。
でもそんな中、2人の方が名乗りをあげられました。
当日現地集合を条件に『井川五郎胎内巡りプレツアー』は決行される事になりました。
10月某日。
晴天の朝、大井川の治水ダム2基をみて長島ダムに到着。
時間はまだたっぷりあるからと最新型の近未来的な堤体を眺めつつ
地元から草刈・清掃作業に来ておられた方とおしゃべりしたりして
ゆっくり朝御飯を食べました。
集合時刻は井川五郎ダムに13時です。
長島ダムを一通り見た後、井川への道に車を進めました。
井川の手前、閑蔵という場所まで来た時です。

え゛...
ちょ、ちょっと...
通行止めぇぇ!?

ガードマンに迂回してくださいと言われましたが納得できません。
車を停めて飛び出しました。
物凄い形相だったと思います。
「13時に井川に行かなきゃならないんです。通してくださいっ」
「む、無理です。歩いてならともかく車は絶対通れませんよ」
「中電の人も井川に行っているはずだから通れるんでしょーー」
「いや、たぶん鉄道で行ってると思いますよ」
「今朝インターネットの道路情報をチェックしてきたけど
ここが通行止めなんて書いて無かったですよっ」
「すいません。おとといの夜に崩れたんです。明日には復旧するんですが」
あまりの私の激昂ぶりに別に自分は全然悪くないのに
すいませんを連発するガードマン。
ごめんなさい。
でも私もどーしていいか大混乱。
「迂回ってどのくらいかかるんですか」
「ここからだったら3時間くらいですかね」
「さんじかんっ??鉄道だったらどのくらいですか」
「うーん。ここからだったらそんなにかからないと思うけど今行ったばっかりらしいから
後1時間経たないと来ないですね」

地図を開きました。
千頭迄戻って国道で迂回して60kmもの狭路・ワインディングを今からだったら絶対間に合わないっ!
だ、ダムの神様助けてください。
私と同じルートでこちらに向かっている参加者もいるはずなのです。
連絡を取ろうにも携帯にはむなしく圏外の文字。
どうしたらいいんだっ
私がもしこのまま車を停めて鉄道で行けたとしても
参加者の誰かがこれなかったら申し訳がたたないよっ
せっかくお仕事休んでまで来てもらっているのに連絡取らなきゃ
携帯繋がるところにいかなきゃ
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その時、頭に浮かんだのは...

これしかない!
「解りました。戻りますっ。」
ホイルスピンさせて今来たばかりの道を長島ダムへ戻ります。
長島ダムの横には南アルプスあぷとラインの駅があります。
長島ダムのパーキングは18時迄停められると書いてあったのを思い出しました。
あそこなら携帯も繋がるかもしれない!
ターボ全開! 怒涛の勢いで長島ダムに戻りました。
そしてパーキングに車を入れた時に丁度登ってくる列車が見えたのです。
これを逃したら1時間待ち!
荷物を選別する余裕も無く手に触ったものを全部つかんで駅にダッシュ!
ぜいぜい息を切らせながら列車に乗り込みました。
中で車掌さんに切符を売っていただきながら
ダイヤを確認するとこの列車を逃したら次に井川まで行くのは
2時間後の車両しかないというのです。
周囲はまだ早い紅葉と鉄道の旅を楽しみにこられた観光客の方ばかり。
車で長島ダムに来てから井川五郎ダムに行くという
私と同じコースで来るはずの方の姿は周囲にもパーキングにも見当たりません。
まだ到着していないのなら電話をしなければ!
そして取り出した携帯を見ると
見事にむなしい圏外の文字..
万事休す。
車掌さんがただならぬ私の様子に心配そうに事情を聞きに来てくださいました。
「この先に携帯が繋がる駅がありますからそこからかけてみてください」
と教えていただきました。
でも全く心が落ち着きません。
大荷物を持って走ったせいで喉はヒューヒュー。
咳が止まらず心拍数も凄い事になっていました。
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大井川鉄道・南アルプスあぷとラインの列車はカタンカタンとのどかに進みます。
だーれーかー
たーすーけーてー
咳と戦い、ひたすらダムの神様にお祈りしつつ
携帯が繋がるという駅まで待つしかありません。