平鍋ダム 見学 その3


網場と目の細かいスクリーンでここが発電所への取水口だと一目でわかります。
そこに見慣れない機械が付いていました。


フロートとワイヤー。水位に応じて高さを調節できる何かです。

「これ、何でしょうか?」
「これは鮎対策の音響装置です」
「鮎…??」
「水中スピーカーで鮎が嫌う音を出して取水口から遠ざけるものです」
「へぇぇ。どんな音が効果的なんでしょう」
「理由はわかりませんが●●○○○さんの歌が効果があったとか」
「さすがにそれネタですよねーwww」


こちらの緑色に塗装されているのは土砂吐ゲートだそうです。
洪水吐ゲートと取水口の制水ゲートは水色塗装でした。


ピントが手前のフェンスに当たってしまって文字がほとんど読めない失敗。

土砂吐予備ゲートは、呉造船所で昭和35年に製造された
鋼製四段式スルースゲートです。
土砂吐ゲートは同じ時に呉造船所で製造された
鋼製二段式ローラーゲートです。


貯水池側に控えているのが予備ゲートです。
そしてそこにこんな穴があったので、何のための穴なのかなと思ったら
河川維持流量を流すためのものでした。


土砂吐の流路は川の真ん中に向きを定めているので
洪水吐の導流壁と土砂吐の導流壁で角度が違っていて
その間に三角の空間があります。


だから
なぜそこに
そんな方向で詰まったのか
そもそも
どこから飛んできたのかと

これは出水でも中々、外れないのではないかと思われます。


天端のフェンス越しにがっちり盾装備しているように見える機械。


ゲートの機側操作盤です。

貯水池側からの水に対してデフレクターとして働くように
水の力を奇麗に受け流せるように装甲板がつけられたのです。


こちらも装甲板装備しています。

段波で被災した際に、ゲートの機側操作盤をはじめ
フェンスは押されて倒れましたし色々な蓋類はすごく重いにもかかわらず
浮き上がって外れたり、電源室などには水と土砂が流入して
ゲートを操作できない状態になってしまったのです。

でも、段波が来る前に各洪水吐ゲートはそこそこの開度でしっかり開いていたので
その後の水も安全に流しきることができました。

できなくなった事は洪水吐ゲートを閉められなくなったために
台風が行き過ぎて雨が収まった後に貯水位を回復させられなくなったことです。


機側操作盤がぶっ飛ばされるほどの段波だったらこの貴重な
呉造船所の銘板なんか絶対なくなっていたと思いますし。


開度計のプレートも華奢ですから曲がったりしたと思います。
でもそうなっていないので、直後の報道や発表資料で
自分が想像していたとんでもない破壊は無かったんだなと
ほっとしました。


と、見学しているときに、ざざざーーっという音が耳に届きました。


「(土砂還元の)ダンプが来ましたよ」
「あ、すごい。ダイレクトに荷台の土砂投入♪」


豪快に土砂を落としてくれています。

「分級とかしていなくてダム湖から引き揚げた土砂を
少し離れたところにある土砂置き場に貯めておいて
そこからこうして川に戻しています」
「分級の手間がないのは良いですね。
普通にそれが自然のままってことですけど」


道路横の投入口から荷台を上げてざーっと投入、これだけでOK。
置き土砂を整地したりしないでこれだけでよいのです。

出水の時にはこの綺麗に斜めになっている土砂の足もとが
水でどんどんさらわれていきます。
すると必然的に上の土砂も崩れて川に供給されていくわけです。

鮎は濁水を嫌いますが、産卵に適したふわふわの河床で
小〜中径の石がたくさんないと繁殖に影響があるので
土砂還元はとても重要らしいです。


天端右岸にあるこの高欄の前で、ぞーーっとするエピソードをお聞きしました。

T1106による段波が発生したとき、ここに職員の方がお越しになっていて
ダム管理所下の駐車場にあったライトバンに乗車して休憩しておられたそうです。

前日からの長雨であり、とんでもない雨量でもあり
何が起きるか分からないし、そもそもゲートは遠隔操作が可能ですが
基本は規則操作で開閉することになっていますし
何かトラブルがあった時にすぐ対応できるように
現場に職員の方が駆け付けるのはごくごく普通の対応です。

休憩していたところ、突然ドーン!!という衝撃と越流水とともに車体がふわっと浮き上がり
管理所の壁に車体が当った後に向きが変わり、右岸道路の門扉方向に流されたのです。

門扉付近で車の車輪が地面に着いた感触があり
バンクがかかった状態で越流水が収まるまで運転したことで
なんとか天端の端にとどまり、堤体直下に落ちることを回避できたという事でした。

もう少しでも段波が大きかったら
管理所の壁に当たって向きが変わって居なかったら
タイヤが地面に着く前に浮き上がったままで高欄に当たっていたら
車は直下に落ちていたかもしれません。

段波が行き過ぎた後に現場の被害状況確認と点検のために
予備電源室に入ったところ、床で魚がぴちぴち跳ねていたそうです。

怖い怖い怖い
想像して怖くて鳥肌が立ちました。
ホントにご無事でよかった。


段波でとても怖い目にあった平鍋ダムですが
すっかり元気になっています。

そして今後、奈半利川の河川環境をよりよいものにするために
清水バイパスを増設することが決まっています。

濁りは貯水池周辺の山の崩壊地の有無、土砂産生量、そして土砂粒子の性質など
さまざまな要因が関わってくるので水系によってとるべき対策は変わってきます。

平鍋ダムは上流の崩壊地から雨のたび、大きな土石はともかく
濁った水が大量にやってくることは否めない状況になりました。

各地のダムで清水バイパスを見ましたがまだまだ設置事例は少ないし
本気で洪水の時に土砂をかっちり流すならやっぱり排砂バイパストンネル最強
と、個人的に思っています。SBTはダムを救う!!

被災してからずっと気になっていた
ずっと会いたかった平鍋ダムを見学させて頂きました。
電源開発 高知電力所様、ありがとうございました。
清水バイパスが気になるのでまた会いに来たいです。