五本松ダム 見学 その1
2004/4/1 更新
兵庫県にある登録文化財指定の堤体。
そのいずれもが神戸市水道局の所有です。
千苅貯水池の千苅ダム
烏原貯水池の立ヶ畑ダム
布引貯水池の五本松ダム
中でも有名なのがこの五本松ダムです。
堤体の名称については観光案内、紹介文で色々異なるこの3堤体。
貯水池の名前で呼ばれたり、地名で呼ばれたり、混ざったり様々です。
確実なのは貯水池名で、これはどこでも一貫していてややこしくないという事です。
ここでは五本松ダムとして紹介します。
五本松ダムは神戸の観光名所・布引ハーブ園の近くにあります。
布引ハーブ園までは車で行けるのかというと駐車場がないので乗り入れ禁止なのです。
観光客の方は新神戸駅周辺の駐車場に車を入れて新神戸ロープウェイを利用するか
ハイキングコースでたどり着くしかありません。
新神戸駅から550円。
ロープウェイの中間駅・風の丘駅で下車すると堤体には最も近くて早いです。
神戸は大阪ほど出入りしないので土地鑑がありません。
三宮駅前で面倒になってそばにあったロボットパーキングに車を入れてしまいました。
歩いても大した事ないだろうと地図で見ると新神戸駅まで1.5kmくらいの場所でした。
しかし連日の仕事の疲れが出たのか冷や汗が出て立っているのが辛くなって来ました。
目の前に一台のタクシーが止まっていたのでふらふらと乗り込んでしまいました。
「すいません...本当に近くで申し訳ないんですけど新神戸駅までお願いできますか?」
「具合悪いの?大丈夫?」
「はいぃ...。」
「観光?どこ行くの?」
「布引五本松堰堤に...」
「市ヶ原?変わったところにいくねぇ。」
「ロープウェイなら楽ちんかなとおもいまして...。」
「ハーブ園は一般車は入れないからね。でもタクシーは入って良いんですよ。
そんなに具合悪いならダムの横まで行きましょうか?」
「え...ホンマですかっ..」
凄く親切なタクシーの運転手さんがダムのすぐ横まで走ってくれるというので甘えることにしました。
道中、ダムについてお話していると小さいころ貯水池に入り込んで魚釣りをしていた事とか
立ヶ畑ダムへの道順(以前、トライして失敗しているのです)とか色々教えてもらいました。
「はい、ここからあとは降りるだけ。気をつけて行きなさいよ。」
タクシーが止まったのは堤体のすぐ上のハイキングルートの入り口でした。
「ありがとうございましたぁ♪」
行き過ぎるタクシーを見送り、ちょっと水分補給をして周辺を見回します。
緑まだ早き森の中。堤体が見えています。
2004年3月現在、五本松ダムは改修工事中。
阪神大震災にも耐えた素晴らしい堤体ですが土砂が大量に貯水池に流入した事と
堤体の保全の為に対策工事中です。水が抜かれています。
五本松ダムは土木・建築の分野では歴史的建造物。
日本初の重力式コンクリートダムです。
とっても有名なのです。
五本松ダムが水抜きをしてすっからかんということは美しさ半減ですが
貴重な堤体上流側を見られる良い機会です。
ハイキングルートの道標。
タクシーの運転手さんが仰っていた『市ヶ原』というのはこの少し上流の地名です。
根っからの地元の方は『布引』とも『五本松』とも呼ばずに
このダムのことを『市ヶ原』と呼ぶそうなのです。エピソードが聞けてなんだか得した気分♪